塀の中から「ゴーン」が証拠隠滅した重要ファイル 日産は特捜部に不信感
特別背任容疑での逮捕が加わったことで、カルロス・ゴーン(64)の東京拘置所での生活はすでに1カ月を超えた。しかし、未だに怯むことなく、虎視眈々と反撃の機会を窺っている。
その一つの現れが、塀の中からの「証拠隠滅工作」だった。
日産関係者によれば、
「事件後、ゴーンが日産に用意させた国内外6カ所の豪華住宅は特捜部からの指示もあり、すべての鍵を換え、誰も立ち入れないようにしました」
ところが、そのうちの1カ所、リオのビーチリゾートであるコパカバーナ海岸近くのマンションのみ、ゴーンの長女が地元裁判所に立ち入り許可を申し立てたのだ。
「東京拘置所に面会に来るブラジル大使館関係者を通じ、ゴーンが長女に指示を出したと見られます。立ち入りを求めたのはリオのマンションだけですから、そこになにか犯罪を裏付けるような重要書類が隠されていたに違いありません」(同)
日産も上訴で対抗したが、結局、長女の訴えが認められ、昨年12月13日深夜から14日未明(現地時間)にかけて長女はマンションに入り、荷物を持ち出した。
「長女は部屋の金庫を開け、二つの書類ファイルを取り出しました。日産が派遣した立会人の弁護士が中身を検(あらた)めたいと要求したのですが、裁判所の執行官が“それは罷(まか)りならん”と却下したのです」(同)
書類ファイルの一つは表紙に日産のロゴが印刷され、もう一つには「レゼンデ工場」の文字があるタイトルが記されていたという。
「2014年、リオ郊外に建てられたレゼンデ工場は、ゴーンの友人であるセルジオ・カブラル元リオ州知事が土地取得に動きました。実は、元州知事の知り合いから、日産は土地を買収したのです。この取引で大儲けした元州知事は、のちにW杯やリオ五輪に関わる収賄容疑で逮捕された。そんな汚職政治家とゴーンによる犯罪に問われかねない取引関係が、長女の持ち出した書類ファイルに記録として残されていたかもしれないのです」(同)
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