ショーン・ペンの小説は“出版への冒涜”!? アメリカでも続々登場「タレント作家」たち

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 2015年に芥川賞を受賞したピースの又吉直樹を筆頭に、NEWSの加藤シゲアキや社会学者の古市憲寿、乃木坂46の高山一実など、近年、“異業種”から作家業に参入する例を目にするようになった。本職を別に持つ、あるいは別業界で名を馳せた人物が小説を書くこうした流れは、海の向こうでも盛んのようだ。ただし成功しているかというと、話は別で……。

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 なかには、すでに邦訳が出ているものもある。昨年12月に早川書房から刊行されたのは、アメリカ合衆国第42代大統領、ビル・クリントンの『大統領失踪』。大統領が架空の大統領を描いた上下巻のポリティカル・スリラーで、サイバーテロ集団と内通の容疑をかけられた大統領が、アメリカを救うため、突然ホワイトハウスから失踪……というストーリーだ。

 共著者には累計販売部数3億7500万部を誇る超人気作家「ジェイムズ・パタースン」の名があるから、クリントン元大統領はただの名義貸しか?と思いきやそうでもないらしい。あとがきによれば、元大統領が立てた大筋に沿って共同執筆は進められ、パタースンはあくまで“仕上げ”を担当だそうだ。

 トム・ハンクスのデビュー作『変わったタイプ』も、新潮クレスト・ブックスから昨年8月に刊行されている。17の作品を収めた短篇集で、表題作は古いタイプライター集めが趣味という作者の経験が反映されているとか、いないとか。俳優としての高名はもちろんのこと、この短篇集と同じタイミングで日本公開された映画「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」では製作総指揮も担当していたから、作家業をふくめ3足のわらじを履きこなす活躍である。

 未訳の作品たちに目を向ければ、昨年刊行された作品のなかで、ひときわ存在感(?)を放つのが、ショーン・ペンが3月に出した小説『Bob Honey Who Just Do Stuff』である。12月23日現在でAmazon.comには80のレビューがついていて、評価平均は☆5つ段階で3。ざっと眺めただけで〈今まで読んだ中でもっとも馬鹿げた作〉など酷評が目立つ。04年に「ミスティック・リバー」、09年には「ミルク」で2度のアカデミー主演男優賞に輝いた“名優”が書いた作品の、どこがそんなにまずいのだろう。

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