年間死者は交通事故死の5倍… 「浴室の死神」ヒートショックから逃れるチェックリスト

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血圧の変化が起きるメカニズム

 風呂場でのヒートショックはどういうメカニズムで引き起こされるのか。

「まず、お風呂に入る前、寒い脱衣室で服を脱いで裸になります。すると、体が寒さに驚いて交感神経が刺激され、血圧が急上昇する。その後、すぐに42℃以上の熱いお湯に浸かると、今度は体が熱さに驚き、再び血圧が上昇するのです」

 と、先の早坂氏。

「この一連の行動で血圧が40ほど上がるという研究データもあります。お湯に浸かった後は、2、3分すると血圧が下がってきます。特に高齢者の血管は動脈硬化を起こしていることが多いので、急激な血圧の変化によって血管が破けたり、詰まってしまったりする。頭の中で破ければ脳内出血だし、脳の血管が詰まれば脳梗塞、心臓の血管が詰まれば心筋梗塞になる」

 血圧の急激な低下によって意識障害を起こし、溺死するケースも多いという。

「一般的には、数分間で血圧が30以上下がれば、意識障害を起こしたり、失神してもおかしくありません」

 とは、東京都健康長寿医療センター研究所前副所長で医師の高橋龍太郎氏。

「急激に血圧が下がり、意識障害を起こしたところでお湯に顔を突っ込んでしまうのです。ただ、その後に大量のお湯を飲むのかと言うと、そうでもないことが多い。意識がある中、水中に顔を沈められると抵抗してもがき、水を飲んでしまう。が、朦朧としている状態だと、それほど水を飲まないのです」

 高橋氏は以前、入浴中の血圧の変化について実験したことがあるという。

「5分間で30以上血圧が下がった高齢者の方が多かった。その中には、意識障害を起こした方はいませんでしたが、これを毎日の習慣としてやっていたら、いろいろな要素により、意識障害を起こすこともあり得るでしょう」

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