「科捜研の女」正月スペシャル、内藤剛志は”死ぬ”か”異動”か?

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 2018年最後の原稿は、書いていないが気になっていた人をまとめようと思っていた。「おげんさんといっしょ」で驚愕のポテンシャルを見せた声優・宮野真守とか、「テンゴちゃん」で初めて知った岡崎体育とか、大河「西郷どん」で忌々しさ爆発だったバカ殿・青木崇高とか、「NHKスペシャル未解決事件」で警察庁長官を狙撃した容疑者役を怪演したイッセー尾形とか、泳ぐ姿が驚くほど美しかった「ロバート秋山 360度カメラ水族館を泳ぐ」とか……って、全部NHKじゃん。なんかイヤだな。却下。

「越路吹雪物語」(テレ朝)でマネージャー岩谷時子を演じた木南晴夏、「恋のツキ」(テレ東)で揺れるアラサーを体現した徳永えり、「宮本から君へ」(テレ東)の池松壮亮もよかったなぁ。ブレイクしたと言えば、田中圭と中村倫也だが、もう何度も書いちゃったし……と思い返しているときに、気になる案件が急浮上した。

 連載を始めて9年近くたつが、過去一度も書いていないドラマがある。いや、揶揄はしてきたが、きちんと取り上げたことはない。1999年から始まり、シーズン18に突入。19年間で既に200話を超えた「科捜研の女」(テレ朝)である。

 もう沢口靖子というよりは榊マリコが独り歩き。それくらい認知されている。

 説明するまでもないが、京都府警の科学捜査研究所で働く、仕事中毒のバツイチ女・榊マリコ。科学の力で真実を暴くことに命を懸けている。労働基準法をガン無視し、男尊女卑で上意下達な組織の論理に聞く耳持たず。上司に媚びず、部下を甘やかさず、ついでに人の話も聞かず。科学捜査の知識は豊富で、勘も鋭いのだが、世間一般の常識や流行、人の感情にはとんと疎い。料理もしないし、趣味もナシ。興味があるのは仕事のみ。自分探しやリア充アピールに血眼の女子の焦りや、鬱屈した専業主婦の心の闇を理解できない。いや一応寄り添うけどね。

 そんなマリコが心を許しているのが、捜査一課の刑事・土門薫(内藤剛志)である。初めは熱血すぎてマリコと衝突していたはずだが、いつしか互いに絶大な信頼をおくように。信頼は敬意、そして愛へ。今シーズンは、土門とマリコの恋心を白日の下にさらす伏線敷きまくりの演出だった。

 しかしだな、現実として内藤は同じテレ朝のシリーズ「警視庁捜査一課長」の主役・大岩純一でもある。こっちも順当に人気シリーズとなり、東京でがっつり撮影せねばいかんのだよ。

 今までにも「科捜研の女」内で「土門死す!?」的な特番があり、内藤の卒業を匂わせてきた。ま、死ぬ死ぬ詐欺みたいな話で、結局は連投してきたのだが。今シーズンの中でも、内藤が東京へ研修に行く姿が描かれた。そして正月特番で、内藤の命が再び脅かされるらしい。死ぬか、異動か、で、そろそろ一課長に専念するってことなのかな。

 これが気になる案件である。内藤が卒業したら新メンバーが入るはず。今後、誰がどうマリコに絡むのか。どの俳優がいいか、妄想キャスティングに忙しい師走。

吉田潮(よしだ・うしお)
テレビ評論家、ライター、イラストレーター。1972年生まれの千葉県人。編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。2010年より「週刊新潮」にて「TV ふうーん録」の連載を開始(※連載中)。主要なテレビ番組はほぼすべて視聴している。

週刊新潮 2019年1月3・10日号掲載

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