「NGフレーズ」リストで学ぶ パワハラ告発されないための「大人の怒り方」

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成長のきっかけを

 そこで問われるのが、現代の世相にマッチした「怒り方」、というワケだ。

「それには、まず叱ることの本質を理解しなければなりません」

 と述べるのは、日経サービス社長で、『ビシッと言っても部下がついてくる できる上司の叱り方』著者、「15のNGフレーズ集」を考案した、嶋田有孝氏である。

「上司が過ちを指摘すれば、部下は素直に受け入れると思っている人がいますが、果たしてそうでしょうか。悪い部分を指摘されて、素直に“自分が悪かった”と思う人は少ない。ですから、ただ叱るのは間違いで、最も大切なのは、“受け入れやすいように伝えて、相手に自分の過ちに気付かせる”こと。できていない部分を指摘して、気付かせ、成長のきっかけを与えることなのです」

 叱るということは、部下に対するプレゼンである。そこから、以下のような「良い叱り方」「悪い叱り方」を導き出せるという。

(1)人物を主語にするな、ミスを主語にせよ。
(2)減点主義で叱るな、加点主義で叱れ。
(3)過去を向いて叱るな、未来を向いて叱れ。
(4)精神論で叱るな、具体的に叱れ。
(5)悪いレッテルを貼るな、良いレッテルを貼れ。

 嶋田氏が解説する。

「相手を改善させる、というベースに立てば、否定すべきは仕事のやり方であって『人物』ではありません。そのためには、叱るときに人物を主語にしてはいけません。“君はまた遅刻したのか”“お前は何を考えているんだ”ではなく、“遅刻の原因は何だ”“このクレームはなぜ起こったんだ”と言うべきです。減点主義ではなく加点主義というのも同様。“ここがダメだ”“ここができていない”ではなく、“ここを直せばもっとよくなる”“この部分を改善したら完璧だ”が望ましいのです」

(3)についてはわかりやすい。「どうしてこんなことをしたんだ」と責任を追及するのではなく、「今度からはこうしろ」と述べるような、問題解決型の「叱り方」が肝要だという。

「“君にはもうひと踏ん張りが足りないんだよ”“もっとやる気を出せよ。根性が足りないんだよ”という精神論もダメ。部下はサボりたくてサボっているわけではなくて、成果に繋がる働き方ができていないだけです。やる気ではなく、やり方を変えさせる。何をどう変えたらいいか、を伝えるべきです。また、“何をやってもお前はダメだなぁ”とやれば相手は傷つきますが、“お前らしくないじゃないか”“君の力はこんなもんじゃないだろう”と、悪いレッテルを良いレッテルに変えて叱ってみれば、これだけで相手の受け取り方は変わってくるのです」

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