「NGフレーズ」リストで学ぶ パワハラ告発されないための「大人の怒り方」
「15のNGフレーズ集」「やってはいけない叱り方13のフレーズ」
あるいは、掲載の表(1)「15のNGフレーズ集」、別表(2)「やってはいけない叱り方 13のフレーズ」を見て、普段の自らの「怒り方」と対照していただきたい。
それぞれの作成者によれば、(1)については、15のうち5個、(2)については、13のうち8個当てはまる場合、その方はれっきとした「パワハラ上司」に認定される可能性があるという。
胸に手を当てれば、どれも心当たりがあるフレーズだ。それがなぜNGなのか、そして、「怒る」とはどのようなことなのかは後述するとして、先に、「怒り方」に悩める現在の日本企業の状況を押さえておこう。
「企業で研修を行う際、2010年以前は、“どう褒めるか”が求められた。しかし、今は『叱り方』の研修の方が圧倒的にニーズが高いです」
と、さる企業コンサルタントが解説する。
「叱るのは悪いこと、というような風潮が生まれ、叱ることの難易度が上がったのです。終身雇用・年功序列の崩壊によって、職場における上司と部下の関係が複雑化しました。また、“ゆとり”が重んじられた世代が社会に出るようになり、打たれ弱い社員が増加した。そしてハラスメントブームが到来した。パワーハラスメントという言葉が登場したのは2001年ですが、それ以降、瞬く間に世間一般に浸透したのです」
別のコンサルタントも言うのだ。
「上司によっては、叱ったらすぐ辞められてしまう、パワハラと言われてしまうと考え、叱れなくなるケースもある。若い世代は、何かあるとすぐにSNSで気軽に会社の内情を投稿することができるようになりましたから、下手に叱れば、ブラック企業のレッテルを貼られかねません」
というワケで、
「個室で女性の部下を指導したらセクハラ、大声で部下を怒鳴ったらパワハラと言われる」
「部下を厳しく叱ったら親が人事部に怒鳴り込んでくることもある。人事部にパワハラだなどと告げ口されたらすぐに左遷だ」
などなど、上司受難の嘆きがあちらこちらから聞こえてくる。
とは言え、叱らなければ、部下は同じ過ちを繰り返す。反省もないし、自信過剰にもなる。あるいは、失敗を過剰に恐れるようにもなる。
どうすればいいんだ……と、悩みの声が方々でこだまするのである。
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