無料アプリは教えてくれないJR運賃節約法

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「応用術」

 さて乗り越しのイメージをつかんでいただけただろうか。これを応用する方法を次に説明したい。ここでは仙台発を例にしているが、当然出発駅によって差額は変動する。計算方法を念のため書いておこう。普段、お使いのスマホやネットの運賃計算を利用すると便利だ。因みに無料版はこの乗り越しの「恩恵」を教えてくれない。

(A)出発駅から到着駅までの運賃を調べる。
(B)出発駅から「東京都区内」(アプリなら東京と打ち込むだけでよい)までの運賃を調べる。
(C)都区内の境界駅から到着駅までの運賃を調べる。(境界駅は地図に示してある)
(D) A−(B+C)=差額運賃

 実際に駅で乗り越し運賃を払う場合、窓口で精算することになる。私の経験では精算機では受け付けてくれない。特に不正をしているわけではないから恐れることはない。

 これを面倒と感じる人もいるかもしれない。しかし料理だって「一手間でおいしくなる」というではないか。刻みネギを入れたりや藻塩やパルメザンチーズを振りかけたりすると味が引き立つ、なんてことは誰でも経験があるだろう。運賃精算はその程度の手間であろう。

 たとえ100円か150円でも駅前のラーメン店で味玉1個追加した青ネギラーメンを食べる幸福。これこそ大金持ちが味わえない至福のひとときであろう。

 この方法は応用例が無数にある。スマートフォンで簡単に計算できるので上記の方法で計算をお試しあれ。繰り返すが無料アプリは教えてくれないので、念のため。

注1)東京都区内と似た制度で「東京山手線内」という制度がある。これは東京から101キロ以上200キロ以内の駅が対象で、考え方は「東京都区内」と同じだが、ここでは説明が煩雑になるので、取り上げなかった。

注2)中央線方面は武蔵小金井までの例とした。国分寺以西は東北上越信越方面からは、大宮~武蔵野線経由の方が運賃も安いし、実際にそのように利用されている。(新幹線を大宮で下車するので特急料金も東京までよりは割安になる)。また大阪方面からも新横浜から横浜線経由の方が安く、時間も速くなる駅が多いので、例として取り上げなかった。

注3)武蔵小杉は東北上越信越方面からの場合、大宮で新幹線から湘南新宿ラインの電車を利用しても、東京経由と時間的にはさほど差がない。この場合は特急料金も節約となる。

田中比呂之(たなか・ひろし)
1957年生まれ。新潮社勤務(「日本鉄道旅行地図帳」シリーズ等を編集)を経て、2017年フリーに。

週刊新潮WEB取材班

2018年12月26日掲載

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