親友・モト冬樹が回想 死の直前「飯島愛」からの最後の電話

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“夜、部屋に来い!”

 モトが続ける。

「あの頃はオレも独身でフットワークが軽かったから、しょっちゅう遊びに行ったよ。映画に誘ってきたから行ったら開始10分で寝始めたり、オレがオーストラリアでお土産に買ってきた羊毛の敷物を、犬がおしっこする場所にしていたり……。なぜかアイツの家族旅行に呼ばれて香港に行ったこともある。旅行中、飯島がホテルのオレの部屋のベルを鳴らして、“買い物付き合ってよ”と言うから、ドアを開けながら“なんでだよ、部屋に来るなら夜に来い!”ってギャグで切り返したら、隣に渋い顔したお父さんが立ってたんだ。お父さん、マジメな人だからあの時は焦ったよ。ふざけてばかりで人をおちょくる奴だったけど、一緒にいると本当におかしくって仕方なかったな」

 だから死の原因もわからない、と首をひねる。

「元気? ご飯でも行こうよ」

 モトのところに一本の電話があったのは、彼女が亡くなる直前のこと。

「今になって考えるとだけど、電話越しの声がいつもより弱々しかったんだよね。でも、その時、オレ仕事が忙しかったの。だから、いつもと同じ軽い調子で、“また今度、時間がある時にな”って断ってしまって」

 それから程なく、飯島は息をひきとり、誰にも発見されないまま1週間もの時を過ごした。

 意外にもモトは、彼女の墓参りに行ったことは一度もないという。

「だって、飯島はあそこにいないじゃん。でも、年に何度か必ず思い出しますよ。一緒に行った場所にたまたま行った時とか、ふと、ね。遊びに行ったり旅に行ったりした時も、飯島がいたら面白いだろうな、と思う。彼女がいなくなっちゃった分、芸能界がつまんなくなっちゃったなあとか、ね」

 そして改めて振り返るのは、やはりあの最後の電話のこと。

「あの時、会って話していたら、悩みなんかを聞くことが出来たかもしれないね。そうしたら……」

 アイツと付き合って味わう、唯一の後悔だな――そう言いながら、コーヒー片手にしんみりするモト。

 先のイブで彼女の死から10年になる。

週刊新潮 2018年12月27日号掲載

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