昔話ばっかりの「朝生」、老いとは何か(古市憲寿)
「私たちってさ、未来のことばっかり話してるよね」
乃木坂46の高山一実さんが書いた小説『トラペジウム』を読んだ。アイドルを目指す地方の高校生を描いた物語なのだが、とても印象深い台詞があった。
「私たちってさ、未来のことばっかり話してるよね」。高校の同級生と交わす他愛のない言葉なのだが、この一言には「若さ」や「青春」の本質が濃縮されているように思った。
確かに、青春のただ中にいる人は、あまり過去の話をしない。生きてきた長さが短く、達成したものも少ないので、必然的に未来の話をせざるを得ないのだ。...