韓国艦のレーダー照射問題 海自OBは韓国側の弁明を“荒唐無稽であり得ない”と分析

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照射は「戦争一歩手前」の行動

 12月20日の15時ごろ、能登半島沖を航行していた韓国海軍駆逐艦「広開土大王(クァンゲト・デワン)」が、海上自衛隊の哨戒機P-1に火器管制レーダーを照射した。日本の排他的経済水域(EEZ)内だったという。

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 何か、とんでもないことが起きたとは誰でも分かる。だが、そのレベルが分からない、という人も多いだろう。そこで海自OBに質問してみると、極めて明快な答えが返ってきた。

「例えるなら、韓国人が銃の安全装置を外し、引き金に指を当て、銃口を日本人に向けている状態です。『ロックオン』という言葉をご存知の方もおられるでしょう。まさに海自の哨戒機は、隣国である韓国海軍の駆逐艦に照準を向けられたのです。ミサイルが発射されれば、撃墜される危険性がありました」

 夕刊フジ(電子版)は12月22日、「官邸激怒!暴挙レーダー“攻撃”韓国を『敵国認定』必至 防衛省幹部「米軍なら即座に撃沈させてもおかしくない」の記事を掲載した。

 見出しの通り、防衛省幹部が匿名で「米軍なら『敵対行為』とみなし、即座に撃沈させてもおかしくない」とコメントしている。海自OBが言う。

「決して荒唐無稽なコメントではないですが、まあ、米軍はそこまで乱暴ではないと思います。しかし、例えばウクライナ海軍がロシア海軍にレーダー照射を行ったら、ロシア海軍は反撃で即座にミサイルを発射しても全くおかしくないでしょう。日韓の国際的な大問題に発展しているのは、ある意味で当然です」

 もし、戦闘中にレーダー照射が行われたのなら、哨戒機は即座に「チャフ」や「フレア」などを撒くという。

 前者は日本語で「電波欺瞞紙」と訳される。アルミなど電波を反射する物体を飛散させることで、ミサイルのレーダー誘導を攪乱させるのだ。

 後者の「フレア」は、乱暴に言えば花火のようなものになる。ミサイルは赤外線センサーを使い、飛行機の熱源を感知して追尾する。そのため高温のフレアを機の周囲に展開させ、“囮”にしてミサイルを追わせるのだ。

 まさにレーダー照射は、実質的には戦闘だということがよく分かる。だが韓国側は、「自衛隊機を狙っていない」と弁明した。韓国紙ハンギョレ(日本語電子版)の「日本『韓国軍が自衛隊哨戒機に射撃統制用レーダー照射』抗議」(12月22日)から、韓国側の主張をまとめておく。

◆竹島から北東100キロメートルの公海上に、北朝鮮の船舶が漂流しているとの情報があり、韓国の海洋警察と共に、海軍駆逐艦も捜索作業に従事していた。

◆当時は波が高く、気象条件は悪かった。駆逐艦は全てのレーダーを総動員しており、この過程で、射撃統制レーダーについた探索レーダーが360度回転し、P-1哨戒機にレーダーを照射してしまった。日本が主張するように「直接、狙った」わけではない。

 ちなみに韓国統一省は22日、「20日に北朝鮮船舶を発見、船員3人を救助し、1人を遺体で発見」と発表した。こうした韓国側の主張に対し、海自OBは眉間に皺を寄せながら、「うーん」と唸る。やはり充分な説得力はないという。

「軍艦は基本的に、4つのレーダーを搭載しています。まず普通の航海用レーダー。そして敵艦を発見する対水上レーダー、敵機を発見する対空レーダー、そして射撃に使うFCレーダー(火器管制レーダー)です。我々の常識では、FCレーダーは敵をピンポイントに狙うものです。広範囲の捜索に有用とは思えません。さらにFCレーダーを使用すること自体が、相当なリスクを負います」

 何しろ、誤射したら戦争一歩手前になってもおかしくないレーダーであることは、これまでに説明した通りだ。もともと訓練などを除き、運用には細心の注意が払われてきた。海自OBは顔をしかめながら言う。

「海自もFCレーダーを捜索に使うことがないとは言いません。ただ、他国の飛行機が近くにいる時は、絶対に使いません」

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