深呼吸が健康にプラスになるとは限らない!? 専門家が説く「良い呼吸」「悪い呼吸」

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肺炎から身を守る「呼吸筋」ストレッチ(1/2)――本間生夫(東京有明医療大学学長)

 気持ちを落ち着かせるべく深呼吸をする。それが却って身体のバランスを崩すことに繋がりかねないというから驚く他ない。……専門家による目から鱗の「呼吸論」。

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 人間は全く飲まず食わずでも数日は生き延びることができます。しかし、呼吸が止まると数分で死んでしまう。その意味では、呼吸は食事よりも大事なのです。

 1分間に15回、1日に2万回、1年に730万回。これは凡(おおよ)その数ですが、我々は「空気の出し入れ」を一生に亘って続けています。呼吸には「良い呼吸」と「悪い呼吸」があり、老化のカギを握っている。

 皆さんは普段、自然に呼吸しているから、その有難さに気づいていません。知らず知らずのうちに呼吸機能が落ち、衰えていくというのは悲劇的です。しかし、呼吸機能はトレーニングによって、ごく簡単に強化することができます。いくら歳を取ってからでも遅すぎるということはない。後で触れますが、体調が良くなり、疲れにくくなり、気持ちが安定していくのです。

 今年の7月、『すべての不調は呼吸が原因』(幻冬舎新書)を上梓しました。この記事はそこからエッセンスを抽出した内容となっております。もっと詳しく知りたい方は、拙著をご参照ください。

 ではまず、「良い呼吸」「悪い呼吸」とは何か、以下のポイントから見ていくことにしましょう。

(A)絶対になくてはならないのは酸素よりも二酸化炭素。
(B)深呼吸は健康にプラスになるばかりとは限らない。
(C)口呼吸をしていると認知症になりやすい。
(D)呼吸機能が衰えると誤嚥性肺炎になりやすい。

 ひょっとすると、意外に感じられる項目があるかもしれませんが、これらは全て本当です。

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