ついに卒業! 指原莉乃の成り上がりを支えた“裏切り”力
期待は裏切るものである、と言う言葉がある。ただし、この場合の裏切りとは、たいがいいい意味で使われるものだ。少年マンガのカリスマ的なキャラが言いそうなセリフなだけに、この発言をするなら相当のハードルを自分に課すことになるだろう。あなたの予想を超えるような結果を出してみせるんでよろしく、と宣言するようなものだ。
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そこで指原莉乃である。アイドルのあるべき姿を裏切り続けて天下をとった女。2年前にAKB選抜総選挙2連覇を成し遂げた彼女は、先日HKT卒業を発表した。バラエティの女王とも呼ばれる彼女にとっては、もはやHKTの看板はさして強い手札ではないだろう。前田敦子や大島優子らの卒業発表ほど世間はざわつかなかったように思われる。
暗い性格やヘタレキャラ。見た目やパフォーマンスにも華は無い。恋愛スキャンダルはネタにする。あらゆるアイドル史の定説や常識を裏切り、炎上し続けて、指原の今の地位があるといっても過言ではないだろう。
とはいえ、彼女がただのお騒がせタレントではなかったことは、そのあとのバラエティでの人気ぶりが証明している。ブス、貧乳、ずうずうしい。アイドルと似つかわしくない言葉を逆手にとって、瞬く間にお茶の間を席巻した。今や自身の「闇」や「こじらせ」を語る女性タレントは山のようにいる。しかし、ネガティブな部分を出してもテレビの中心に居続けられる、ということを証明した先駆者は、指原ではなかったか。
表向きだけ見れば、真面目にやっているメンバーほどバカを見た売れ方に思える。実際に総選挙で指原が1位になった際、批判も多かった。しかしその指原こそ、たぐいまれなる努力の人だったようである。
数ある楽曲の振りや立ち位置を徹底的に覚えるだけでなく、アイドルイベントのプロデュースに奔走し、冠番組でのMCをこなす。彼女の知名度を上げるきっかけになったブログでは1日100回更新に挑戦し、2011年には「24時間での個人ブログへの最多コメント」というギネス記録を打ちたてた。ルックスも踊りも一番になれない。かといって、コツコツ努力しただけで人気が出るほど芸能界は甘くない。だとすれば、多少嫌われてもいいから、目立つチャンスには全力投球し続ける。それは相当、アイドルという立場に覚悟と思い入れがないとできないと思うのだ。
やったもん勝ち、売れたもん勝ち。ブスと言われようとアイドル失格と言われようと、世間の求める姿を裏切り続ける自己ブランディングでアイドル界の頂点へ。まさに平成の成り上がりガールである。
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