戸田恵梨香「大恋愛」vs.新垣結衣「けもなれ」アラサー女優同士でなぜ格差?

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励ましのエリカ、慰めのガッキー

 同じ世代の女優2人が同時期に主演する連ドラについて──は、4カ月ほど前にもデイリー新潮で書かせてもらいました。綾瀬はるか(33)が「義母と娘のブルース」で、石原さとみ(31)が「高嶺の花」で、夏の暑さを倍増させるような熱演を競いあってる具合だったもんでね。

 あの2作、7~9月期が終わってみれば、平均視聴率では「ぎぼむす」が14.2%、「高嶺」が9.5%という大差がついたんだけれど、似たようなことがまた、この10~12月期でも起きつつある。今度はTBSが戸田恵梨香(30)を、日テレが新垣結衣(30)を主演に担いできた「大恋愛~僕を忘れる君と~」と「獣になれない私たち」に、なんだか格差が見えてきた。

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 最終話より1回手前までの平均視聴率は「大恋愛」が9.7%、「けもなれ」が8.7%。前期の「ぎぼむす」vs.「高嶺」ほど勝敗はあからさまじゃないけれど、ネット上で、週刊誌上で、ギョーカイ内で、ワタシの周辺で、「けもなれ」には負け組臭がキツく漂ってます。

「大恋愛」と戸田は以前、デイリー新潮で褒めたので委細は繰り返しませんが、対する「けもなれ」だって悪くない作品で、新垣もいい芝居してる。現在ただいまの20代後半から30代半ばくらいまでの男女が恋愛だ仕事だで抱えてる難しさを、野木亜紀子の脚本は丹念に押さえてるから、突飛に思える設定や展開にさえ不思議とリアリティが湧いてくるし、新垣の相手役の松田龍平(35)&田中圭(34)も演技は達者。

 にもかかわらずの「大恋愛」と「けもなれ」の数字の落差、世評の格差。その理由のひとつにはもちろん、「けもなれ」が放送前から持たれていた過大な期待がある。日テレが主演女優はおろか脚本家までセットで、TBSの「逃げるは恥だが役に立つ」から引っこ抜いてきて放つ自信作……のはずだったからね。

 全話平均14.5%・最終回20.8%を叩き出した「逃げ恥」だもの、柳の下の泥鰌をすくってみるだけでも10%は割らないはず──なんて読みを、つくる側の日テレがしていたであろうことは、軽くて甘い出来のCGのタイトル映像からも丸わかり。

 同じような期待は見る側にもあって、「逃げ恥」パート2を心待ちにしていたところが、いざ幕が上がってみりゃ、相手役の松田はまるっきり星野源じゃないわ、多少は星野風味のある田中は相手役じゃないわ、ガッキーは仕事にも男にも恵まれなさすぎで毎回ただただ可哀そうだわ。そりゃ数字も評判も取りづらい。

 ただ、面白いのは、「けもなれ」の人気に火がつかない原因として槍玉に挙がりがちなのは、脚本やキャスティングや共演者たちの芝居であって、主演女優ではないこと。そして、もうひとつ面白いのは、「大恋愛」についても事情がよく似ていること。

「大恋愛」の数字が伸び切らない理由としてよく見聞きするのは、
●ニッポン対ベネズエラだかのサッカー中継で番組スタートが30分遅くなる回が出たという編成の不運
●ちょうどそのあたりから物語に突如、小池徹平の怪演が割り込んできて、大恋愛に小ホラーが混入する脚本の不調
……といったあたりで、やっぱり主演女優への矛先は鈍いんです。

 で、「大恋愛」と「けもなれ」に差が出てくるのは、この先から。どちらもドラマで演じる役柄とシンクロするように、視聴率が伸びないという恵まれない環境で奮闘する戸田と新垣に対して、視聴者たちが投げかけている言葉が、どうも違う。

 戸田に送られている声で多いのは励ましで、要約するなら「がんばれエリカ!」。一方、新垣への声には慰めが目立って、煎じ詰めれば「がんばらなくていいよガッキー……」。

 なんて具合に世評をチェックしてて気付いたのは、前クールの「ぎぼむす」綾瀬と「高嶺」石原、今クールの「大恋愛」戸田と「けもなれ」新垣という30代前半女優の勝ち組と負け組に共通点があること。

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