まやかしの「消費増税」ポイント還元(KAZUYA)

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 ハワイからこんにちは。

 今年も何度か海外に来ていますが、買い物や食事などの支払いは現金ではなく、クレジットカードを使うことが多いです。いちいち両替するのが面倒ですし、大金を持ち歩いていると怖いですから、カードは様々な面で便利です。

 近年は日本国内でもクレジット決済ばかりです。業者によってはビジネス用のカードを発行できますから、仕事と個人的買い物を明確に分けられて非常に重宝しています。

 ポイントが貯まるのもカード決済の魅力でしょう。各社特色のあるポイント制度で顧客獲得と維持を目論みますが、僕の場合はカードのポイントを航空会社のマイルに移行できるものにしています。割とバカにならないもので、可能な限りの決済をカードで行うのが習慣になると、国際線の特典航空券取得も可能になってきます。

 そんなクレジット決済生活を続けている僕にとって、消費増税の景気対策で5%のポイント還元を検討するというニュースは衝撃的なものでした。還元しすぎだろうと。

 少しマニアックな話になりますが、1ポイント=1円とは限らない点に注意が必要です。例えばANAのハワイ往復エコノミー特典航空券は3万5千マイル(ローシーズン)で取得できます。現金で買おうとすると3万5千円では全く足りず、時期によりますが基本的に倍以上の金額です。つまり1マイルが1円どころか2円3円もの価値になるのです。

 航空系クレジットカードは買い物をするとき、元々100円で1マイル程度が付きますから、もし本当に5%還元したとすると合計6%になります。ポイントマニアからすると信じられないような高数値です。

 先程のハワイの例で考えてみましょう。1%還元だと3万5千マイル貯めるのに350万円も買い物をする必要がありましたが、6%ならば約58万円で到達します。

 個人的にはキャッシュレス決済を普及させる目標に賛同します。しかし増税分を超える5%ポイント還元という案は、やりすぎというより本末転倒ですし、それで現状クレジットカードやポイントについての知識がない人、特に高齢者がクレジット決済生活を始めるとは思えません。

 訪日旅行客を当て込み、中小企業でクレジット決済を導入してもらうのが政府の目論見で、還元も中小での買い物のみとするようです。しかしクレジット決済をする日本人が増えないと中小企業も導入に二の足を踏むはず。

 ネットを見ると、ポイント還元率の高さやポイントの使い方、移行条件など、各社の比較情報を得ることができます。しかし日本は大臣ですらパソコンをほぼ使わない社会ですからね……。となると恩恵を受けるのは僕のようなポイントマニアだけになるのではないかと懸念します。

 カード会社も、中小だけを選別するなど、一時的な措置なのにシステムの改変が必要でしょう。

 増税によって負担は増え、景気対策と言いながら軽減税率やポイント還元で国民の手間を増やし、働き方改革はどこへやら……。対応を迫られる部署の人材は長時間労働を強いられる未来が見えます。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。12年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者40万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2018年12月13日号掲載

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