「M‐1」炎上芸人も「有田芳生議員」も「夜中の手紙は出すな!」 超ベテランブロガーからの忠告

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有田議員の面白ツイート

 どれだけ普及しても、いや普及すればするほど、ネットやSNSでウカツな言動をしてトラブルになったり、笑い者になったり、というケースが後を絶たない。
 最近でいえば、トラブルの代表例は「M-1グランプリ」本番後の審査員批判で大炎上してしまったとろサーモン久保田とスーパーマラドーナ武智だろう。
 一方、そこまで知られてはいないけれども、M‐1の翌日、一部で笑いを誘ったのは有田芳生・参議院議員だ。
 注目されたのは12月3日の有田議員のこのツイート。

「法務委員会関係の原稿を書く合間にネットを見たらこんな内容を見つけました。いまの年齢と生まれた年(西暦)を足すと「2018」になるというのです。ホントだ。1000年にいちどのことだともあります。」

 一読して、???となった方も多いだろうが、整理すると有田議員のツイートの内容はこういうことになる。

(1)仕事の合間の息抜きにネットを見ていた。
(2)「いまの自分の年齢と生まれた年(西暦)を足すと2018(という今年の西暦)になる」という情報が書かれてあった。
(3)やってみた。
(4)ホントだ(と驚いた?)。
(5)この現象は千年に1度のこと(現象)だとも書いてある。

 言うまでもなく、西暦何年だろうが、自分の年齢に生まれた年(西暦)を足した場合、その年になる(誕生日が来ていれば)。千年に1度ではなくて毎年のことである。
 しかし有田議員はネット上にあるジョーク情報に接して、「ホントだ」と感心してしまったようなのだ。
 当然、このツイートは特に日頃から有田議員を快く思っていない人たちの格好の餌食となり、からかいのコメントが多数ネット上をにぎわせることになった。大臣のITリテラシーを云々している場合か、それ以前に普通の常識が無いじゃないか、というわけだ。

昼の常識は通じない

 おそらく有田議員は国会答弁の原稿を書くのでヘトヘトに疲れ切った頭でネット情報に接して、ついツイートまでしてしまったのだろう。
 この手のトラブルや話題の原因を探ると、当事者の判断能力が低下していた、というケースが珍しくない。酒を飲んで、とか、深夜まで働いて、といった類である。

 こうした失敗を防ぐにはどうすればいいのか。1996年から毎日ブログを書き続けているという伊藤洋一氏(三井住友トラスト基礎研究所主席研究員)は、著書『情報の強者』のなかで、「昼の常識」が働かない危険を自覚せよ、とアドバイスしている(以下、引用は同書より)。

「普通に情報発信しても、つい不用意な表現を用いてしまったり、不正確な情報を流してしまったりすることはあるかもしれない。
 その防止策をどうするか。『夜中の手紙は出さない』というのを私は一つのルールとしている。
 子供の頃よく母親に、『夜中に書いた手紙はそのまま出すな』と言われたものである。その時には半ば聞き流していたが、大人になってからその意味がよく分かった。夜は自分の部屋に入るから、多くの場合は一人である。夜には普通の人でも“想像”、場合によっては“妄想”もしくは“思い込み”が広がる。母が言っていたのは、『そんな精神状態で書いた手紙は、どこかおかしいから気をつけて翌朝お日様の下で読み直して出しなさい』ということである。その言葉はずっと頭に残っている。

 多くの人にとって、発信の余裕があるのは夜だろう。LINEであれ、ツイッターであれ、ブログであれ、フェイスブックであれ、授業中や勤務中ではなく、すべてが終わった夜に書くことが多い。
 それは仕方がないにしても、『夜は妄想が広がりやすい』ということについて常に自覚的であったほうがいいように思う。

 SNSでは読み直すどころか、書き込んですぐに『送信』をしてしまうことも珍しくない。母が見たら気絶しそうなことを私も含めた、多くの現代人がし続けている。酔った勢いの過ちが『永久不滅』になることだってある。実に実に恐ろしい世界なのだ。
(中略)
 車を運転するにあたっては運転免許証取得が義務づけられているのと同じように、本来は、ネットに関しても一定の教育を受けることを必須としたほうがいいのではないか、と思うこともある」

 20年以上ブログで発信し続け、多くの読者を得ているにもかかわらず、大きな問題が起きていないだけに伊藤氏の言葉は重い。伊藤氏は同書でこれ以外に「読み手は論理よりも“言葉”に強く反応する点に注意すべき」「文章や発言は恣意的に編集されることがある点を意識する必要がある」といったアドバイスもしている。

 炎上芸人や有田議員には思い当たる点があるのではないか。

デイリー新潮編集部

2018年12月13日掲載

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