ゴーン事件第二幕 “本丸”特別背任での立件は困難? 私的流用に“盗人にも三分の理”の反論

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「特別背任」は怪しく…

 こうしたゴーンの主張を崩し、「特別背任」での立件を狙う検察当局。「形式犯」と言われかねない金商法違反と比べ、悪質との印象を与えられるから、こちらが「本丸」と言われてきたが、

「立件は難しいでしょう」

 と述べるのは、先の若狭弁護士である。

「例えば、レバノンの豪邸については、年に1度でも取引先と商談やパーティーをしていれば、業務上必要だったと言うことができます。100%私的に使っていたと証明するためには、現地に出向いて本格的に調査をする必要があり、1~2年はかかるでしょう」

 姉へのコンサル料も同様で、彼女に業務についての相談をまったくしていなかった、と立証するのはハードルが高いという。

「要は、現状出ている疑惑では、ゴーン側には、わずかとはいえ“業務と関係があった”という理屈がある」

 と、司法担当デスク。

「一方、検察側がその“不存在証明”をするのは、なかなか骨が折れるのです。特背で立件できるかどうかも微妙な状況。この事件では、普段は口の重い検事たちも、金商法違反が形式犯ではない、ということだけは熱く語るのですが、これは金商法だけの立件になる可能性を見据えての“世論作り”とも取れます」

週刊新潮 2018年12月13日号掲載

特集「『日仏戦争』に発展した 『カルロス・ゴーン』未だ解けない七つの謎」より

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