“天敵”退治で明暗 柔道「阿部兄妹」東京五輪への道

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 9月の世界柔道で兄妹揃って金メダルを獲得した阿部一二三(21)と阿部詩(うた)(18)が11月23日、グランドスラム大阪で明暗を分けた。

「これまでは詩が“お兄ちゃんに追いつきたい”と言っていましたが、立場が逆転してしまいましたね」

 と全日本柔道連盟関係者が苦笑する。

 まず、女子52キロ級。

「このクラスは詩と昨年世界女王の志々目(ししめ)愛(24)、同準Vの角田夏実(26)の3強が“ジャンケン”のような状態で勝ったり負けたりしているんですが……」

 詩は準決勝で、9月の世界柔道決勝に続いて志々目を連破し、決勝では、これまで3連敗中だった“天敵”の角田を初めて破って優勝。兄より一足先に来年開催される世界柔道東京大会出場が内定した。

 だがその直後、男子66キロ級決勝で兄が足を掬われた。相手は丸山城志郎(25)。一二三が唯一苦手としている“天敵”である。

「巴投げで綺麗に投げられました。一二三は3年前の講道館杯でも丸山に敗れていますが、そのときも巴投げを食らった。十分注意していたはずですが……」

 これで“お兄ちゃん”の世界切符はおあずけ。1年前は世界切符を持つ兄を妹が追っていたが、今度は逆に兄が妹を追いかける身になってしまった。もっとも、

「対外国人の成績では一二三が丸山を圧倒しているので、よほどのことがない限り、一二三の世界柔道出場は揺るがないでしょう。そして、そこでメダルを獲れれば東京五輪も内々定といっていいでしょう」

 東京五輪でも兄妹の試合は同じ日に行われる見込み。

「大会2日目くらいに行われるので、“兄妹V”なら大会全体が大いに盛り上がるでしょうね」

週刊新潮 2018年12月6日号掲載

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