日本はいつから“植民地”にされた!? 「カルロス・ゴーン」逮捕に見るフランスの“上から目線”気質

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フランス「大手紙」「政府」は

 カリスマ経営者やフランス政府までが日本を植民地だと考えているのなら、彼の国のメディアも見当違いが甚だしい。ゴーン逮捕を受け、大手紙には日産による“陰謀だ”との文字が躍ったのだ。

 外信部記者によると、

「ル・モンドが、“日産からゴーンを追い出すための陰謀”と関係者の声を伝えれば、経済紙レゼコーでは、“公然たる、手荒な父親殺しだ”などと報じました。“福島の原発事故で東電の経営陣は罪に問われていない、ゴーンは司法の罠に落ちたのでは”といった的外れな記事もあった」

 先の徳岡孝夫氏は、

「フランスには、偉大なナポレオンを生み出したヨーロッパの中心で一等国だという誤った自負がある。論調の背景にそうした上から目線の気質があるのではないでしょうか」

 そもそも悪質な犯罪行為があればこその逮捕劇である。とまれ、フランスの名誉のために付け加えると、ル・モンドには、次のようにエスプリの利いた記事も。

《彼はルイ14世の次の言葉を想起すべきだった。「役職を一つ設けるたび、100人の不満分子と1人の恩知らずをつくる」》

 もっとも、今のゴーンは断頭台に上がったルイ16世の気分だろうけど……。

 日産と同じ15%のルノー株を持つフランス政府。マクロン大統領が、ゴーンに日産とルノーの経営統合を迫ったことも、逮捕劇の遠因と言えよう。経済部記者の話。

「当初は消極的だったゴーンが、統合に舵を切ったことで、日産は危機感を持ったのです」

 日産が先手を打ったというわけだが、口うるさいフランス政府を黙らせるには、どうすべきか。先の福田俊之氏によると、その方法は2通り。

「一つは、今後、日産が干渉されないよう、現在、日産が15%持っているルノー株を、25%に買い増す方法。あるいは持ち株比率や両社の関係は従来通り維持したうえで、人事等重要事項に関しては互いに干渉しないという覚書を結ぶ方法です」

 金と雇用確保が狙いのフランスにとって、下手に日産の舵取りをするより現状維持が得策か。

週刊新潮 2018年12月6日号掲載

特集「新聞テレビでは分からない『カルロス・ゴーン』20の疑問」より

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