大人気「チコちゃん」“中の人”が気になる 身長は? 性別は? NHKに訊ねると……

エンタメ

  • ブックマーク

中の人は誰?

 だが、そうなると、さらに謎は深まる。「どんな人が、チコちゃんの中に入っているんだろう?」という疑問だ。かつてJリーグの取材をしていた記者は「着ぐるみの中に入っている人を見たことがありますよ」と言う。

「私は関東地方のJ1クラブを担当していたのですが、ホームタウンで試合が行われると、着ぐるみのマスコットがスタジアム周辺を歩き、サポーターを喜ばせました。この着ぐるみの中に、地元の小柄な女子高校生が入っているのは、関係者なら誰でも知っていました」

 この場合は地元密着型のボランティア活用タイプということになるのだろうが、着ぐるみのプロも存在する。「着ぐるみアクター」と呼ばれ、アクターが集まる事務所も、アクターを養成する専門学校も存在する。学校のホームページを見ると、ダンスと演技の指導が中心のようだ。

 確かにダンサーと着ぐるみは相性がいいようだ。1968年に公開された映画「2001年宇宙の旅」(スタンリー・キューブリック監督[1928~1999]/メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)では、類人猿の描写からスタートする。撮影当時はリアルだと驚かれた着ぐるみで演じたのは、ダンサーやパントマイミストだと言われている。

 ネットメディアの「マイナビウーマン」は13年10月、「中の人に聞く! 着ぐるみアクターが気を付けること『目線』『反射神経』『安全』」を掲載。着ぐるみプロダクション「CHOKO.group」の代表取締役を務める大平長子氏にインタビューを行っている。

 大平さんもアクターとして活躍。NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」(月~土:8時~8時24分)内で放送されていた「にこにこぷん」(1982~1992年)で「ぽろり・カジリアッチⅢ世」を演じた。

 取材者が「気をつけるべきこと」について問うと、次のように答える。

〈まず、そのキャラクターを「生きているように見せること」です。中に入るだけなら誰でもできますが、それではいけません。中の人を意識させない、生き生きとしたキャラクターに見せられるかどうかですね〉

 まさにチコちゃんの中にいる人は、それを実現している。だからこその人気なのだ。記事に戻れば、取材者が「相当難しそうですね」と感嘆すると、次のように言う。

〈その人が見えているように「芝居すること」ですよね。着ぐるみアクターも芝居ができなければいけないわけです。しゃべっているときには実際にしゃべっているように見える芝居が、喜んでいるときには喜んでいるように見える芝居が求められます。表現力がないとなかなかできないですね〉

次ページ:小柄な女性を求める業界

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。