ユーモアに殉じた「リベラリスト」:山田芳裕『へうげもの』
畢生の大作という言葉がある。「代表作」ではまだ足りない、生涯に一度しか書けない、渾身の一作という言葉だ。まだ50歳とはいえ、山田芳裕にとって、『へうげもの』(講談社、読みは「ひょうげもの」)はまさに畢生の大作だろう。
主人公は美濃の戦国武将、古田佐介(のち古田織部正重然=おりべのかみしげなり、織部助重然)。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と3人の英傑に仕え、千利休とともに茶の湯文化を大成し、利休亡き後は天下一と称された茶人だ。
「数奇」というキーワード
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