「カルロス・ゴーン」牢獄生活は5年? 守護神に“掟破りの弁護士”

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 東京拘置所に勾留されている日産自動車のカルロス・ゴーン前会長(64)のムショ暮らしは長くなりそうだ。逮捕容疑は、2010年度から14年度の5年間の役員報酬が約100億円だったにもかかわらず、その半分の約50億円しかなかったと、有価証券報告書に虚偽の記載をしたというもの。だが、東京地検特捜部が狙う本丸は「特別背任罪」であるという。

「会社を私物化した特別背任による逮捕ができれば、虚偽記載もそれが原因で起きたということになる。つまり、事件として、“据わり”が良くなるのです」

 とは、元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏。特別背任罪が成立すれば、10年以下の懲役または1千万円以下の罰金が科されることになるが、若狭氏は、実刑の可能性が高いと指摘する。

「虚偽記載にさらに特別背任での逮捕が加わると、懲役5年以上の実刑判決は堅いでしょう」

 仮に、特別背任での立件ができなかったとしても、別の容疑がかかる。1回目の逮捕容疑に入っていない、直近3年の役員報酬を有価証券報告書に記載しなかった虚偽記載での再逮捕も特捜部は検討していると言われているのだ。

「そうなると、最初の逮捕の分と合わせ、合計約80億円の報酬を記載していないことになります。さらに動機が悪質だと認定されれば、特別背任がなくても、実刑の可能性は十分にあります」(同)

 虚偽記載であっても、形式犯の軽微な罪と片付けられないのだという。

「そもそも、有価証券報告書は投資家や株主などに対し、会社の正確な情報を伝えるためのものです。そこに虚偽の記載をするということは、投資家らを騙す詐欺的行為となります。以前に比べても、重い罪と位置づけられているのです」(同)

 実際、ホリエモンこと堀江貴文氏は2011年、ライブドア事件で報告書に虚偽記載をしたとして、懲役2年6カ月の実刑判決が確定している。

 また、ゴーン本人が待ち望んでいるであろう保釈に関しても、

「本人は容疑について否認をしています。証拠隠滅の恐れがあるため、保釈される可能性は低い。再逮捕後、満期を迎える今年の年末までは少なくとも勾留されるでしょう。否認を続ければ、年明けも保釈はなかなか難しいと思います」(司法担当記者)

 束の間、娑婆に出られたとしても、異国の牢獄生活に“カリスマ”は再び堕ちることになる。

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