電撃的「カルロス・ゴーン」逮捕劇 “カリスマ”を裏切ったインド人執行役員の正体

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ターゲットはベイルートかリオか?

 日本とフランスの国際問題に発展するリスクを顧みず、大捕物となった今回の逮捕劇。泣く子も黙ると言われた東京地検特捜部は早くも第2幕を用意している。

 司法担当記者が言う。

「今回の逮捕容疑は金融商品取引法違反ですが、勾留期限となる12月10日を迎える前に再逮捕すると睨んでいます」

 それこそ、特捜部が狙う本丸だという。

「ゴーン容疑者が私的に資金を流用したことで会社に損害を与えた特別背任罪での逮捕です。これが捜査の主眼になっており、立件を視野に検討されています」

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏が解説する。

「今回の事件では日産の幹部が司法取引に応じたとされています。すると、ゴーン追放のために日産が事件を仕立て、特捜部はそれに手を貸したと世間から見られかねない。そこで、会社を私物化した特別背任による逮捕ができれば、虚偽記載もそれが原因で起きたということになる。つまり、事件として、“据わり”が良くなるのです」

 私的流用の一つと取沙汰されるのが、世界6カ所にある高級住宅だ。中でも、幼少時から高校までを過ごしたレバノンのベイルートと出生地であるブラジルのリオデジャネイロの住宅は日産の子会社に計21億円かけて購入させ、ゴーン容疑者とその家族が私的に使用していたとされる。だが、

「それらの住宅で商談をしていた、と主張されると、業務のために使用していたことになってしまいます。むしろ、リオのヨットクラブ会員権600万円相当の購入や、数千万円もの家族旅行、娘の大学への寄付に日産の資金が使われていたことの方が、業務に関係のない支出だとして、立件しやすい」(先の記者)

 さらに、約17億円もの巨額な投資の損失を日産に転嫁したとも報じられたゴーン。いずれにせよ、フィナーレまでにひと波乱起きるのは必至である。

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