肉は焼くより茹でるべし、魚は生で… 「老化の元凶」を退治する食事術
AGE撃退に効果的な食材とは
では、どんなメニューがいいのか。横浜創英短大名誉教授の則岡孝子さん(栄養学)が補足してくれる。
「鶏肉のささみの棒棒鶏(バンバンジー)などは、レンジでごく短時間の加熱ならAGEの摂取をかなり抑えられます。これに抗酸化作用の高いトマトなどを添えると、なお老化防止にいいと思います。茹でた豚肉を使った豚しゃぶサラダをポン酢でいただくというのはいかがでしょう。また、糖化の抑制効果が高いビタミンB6は、牛や豚のレバーのほか、カツオやマグロ、サケなどのお魚にも多く含まれるので、カツオやマグロのカルパッチョはお勧めです。お酢を使うので、焼かなくても魚の臭みがとれます」
酢については、その効果を牧田院長もこう説く。
「油で揚げた魚は、AGEの含有量がかなり高いですが、酢でマリネして南蛮漬けにすると、酢の力でAGEが減ります。また、生の肉を単純にグリルするとAGEの量は約5倍に増えますが、グリルする前に酢に漬けると、AGEは2分の1にまで下がる。酢の代わりにレモンを用いても、同様の効果が得られます」
揚げ物好き、焼き物好きにも、救いの道は残されているのである。
では、肉や魚のほかにAGE撃退に効果的な食材はなにか。牧田院長はエキストラバージンオリーブオイルや赤白ワインなどを挙げるが、さらに、
「アリシンによる強力な殺菌作用が期待できるのがネギ。これはビタミンB1が体内で持続的に働くのを助けるので、ビタミンB1を多く含む豚肉や大豆食品を一緒に摂ると、AGEによる老化を妨げると考えられます。ほうれん草に含まれるα-リポ酸は抗糖化作用が強く、AGEが体内に蓄積するのを防ぐ働きがある。これはトマトにも豊富です。ブロッコリーに含まれているスルフォラファンも、抗糖化作用が強いうえ、AGEの生成自体を予防できる。キノコ類にはビタミンB群がたっぷり含まれるほか、β-グルカンが免疫細胞のマクロファージの効果を高め、生活習慣病を強力に防いでくれます。ほかに、牡蠣はビタミンB群が豊富で抗糖化作用があり、強い抗酸化作用があるビタミンACEが多い。栄養が凝縮した食材です」
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