ホラン千秋 茶色い弁当アピールとサバサバキャラの賞味期限
自虐サバサバキャラの賞味期限
キー局全局落ち、1年でキャスター降板。不遇の時代が長かったからこそ、自分の求められるキャラや立ち位置は、しっかり理解して全力でやりとげる。ホランはそういう職人気質が強い女性だと思う。バラエティでは幸せな恋愛話や、華やかな女子会に対する嫌悪感をあらわにし、鉄壁のサバサバキャラを貫き通す姿に強い意地がうかがえる。一方でプライベートでは外に一歩も出ず、家から出ないから彼氏もできない、と自虐する。自宅でダラダラと過ごしたいという話を聞くと、世の中の求める“ホラン像”をやりとげることは相当疲れることなのではないか、とも読みとれる。おそらく、確かに負けん気は強いだろうが、同じくらいサービス精神も自分に課すハードルも高い人なのではないだろうか。そういう意味で、本当は男前サバサバキャラではなく、とても細やかでよく気がつく人だと思う。
自虐を武器にする女性はやがて行きづまる。自分の女性らしさや感情を素直に表現することにブレーキをかけがちになるからだ。笑いに変えたり、キレて見せたりしないと落ち着かない。そして、自分にかけた呪いを、周囲にもかけてしまう。つまり、「料理がうまくてかわいいものが好きなのが愛される女子。でもそうじゃないなら自虐で乗り切るしかない」という見えない鎖を再生産し続ける。
お弁当が茶色い日があっても、彩りが美しい日があっても、どっちも私の好きなものだから、と堂々と言い切れる人が本当のサバサバ男前だろう。前述のプロレス相手・田中も、ここ最近はズバズバとモノ言うキャラにシフトチェンジし好評を得ているようだが、毒舌キャラポジションまでとられてはホランもさすがにつらいに違いない。けれどもそれを逆手にとって、自分に期待されているサバサバキャラのハードルを少しずつゆるめていくいいタイミングなのではないか。冷蔵庫の食材の賞味期限より、自虐サバサバキャラの賞味期限をもう少し吟味してほしい、と老婆心ながら思ってしまう次第である。
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