株価暴落「ライザップ」社長が慚愧を語る(下) “負ののれん批判”への回答とグループの今後

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時代の寵児から滑り落ちたライザップ「瀬戸社長」慚愧を語る(下)

 業績予想の下方修正を受けライザップグループ株は暴落。これまで事業規模を拡大させてきたM&Aの新規の凍結を発表した。同グループの瀬戸健(たけし)社長(40)は「ライザップでもそうですけど、目の前に食べたい物があっても、トレーナーは『今』ではなく『未来』を選んでもらえるよう説得する」「短期的には株主の方にご迷惑をおかけすることになって申し訳ないのですが、『未来』を選ぶという決断を下した」と語った。

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〈現在までのライザップ急成長の背景を説明する上で避けて通れないのが「負ののれん」というキーワードである。企業を割高に買収した際に発生するのが「のれん」。一方、割安な買収の際に発生するのが「負ののれん」だ。「負ののれん」という表現が分かりにくければ、「割安購入益」と言ってもいい。国際会計基準では、買収額が買収先の純資産を下回った場合、その差額、つまり「割安購入益」を買収したタイミングで利益として一括計上することができる。ライザップは、この「割安購入益」が出るM&Aを繰り返すことにより、急成長してきたのだ。〉

 こうした手法自体を疑問視する報道もありますが、「負ののれん」を計上するのは、国際会計基準で決まっている通常の会計処理で何ら問題はありません。

 赤字企業の買収を続け、「負ののれん」を毎年のように計上するというやり方が珍しいのは事実です。ただ、それは考え方の違いでしかない。一般的な買収は、年間3億円の利益を出す会社を「のれん代」も含めて30億円で買う、というもの。我々は逆で、毎年3億円の赤字が出るけど、会社の資産が30億円ある、といった企業を買収しているのです。例えば、30億円の資産がある会社を15億円で買収すれば、一時的に15億円の利益が出ます。しかし放っておくと、その会社の赤字は6億、9億と増えていき、儲けた15億円はなくなってしまう。本来、その15億円を使って経営再建をしなければならなかったのですが、実際は、それぞれの企業の経営再建が遅れ、「負ののれん」、すなわち「割安購入益」だけが先に積み上がっていった。また、買収した企業が増えるにつれ、買収先への経営人材の派遣などが手薄になったのは間違いない。そこは素直に反省しなければならないと思っております。

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