王者「日テレ」は守りに入って視聴率に異変 凋落のフジテレビと酷似で危機到来か
「イッテQ」のヤラセ報道に月間3冠王からの陥落……度重なる日本テレビの不調は偶然ではない。危機は番組だけにとどまらず、日テレ全体に及んでいるというのは、メディアアナリストのメディア遊民氏だ。しかも、いまの日テレは、フジテレビが3冠王から陥落したときと酷似しているというのだ。解説してもらおう。
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「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系・日曜19:58~20:54)のデッチ上げ騒動は、11月18日の放送では、番組冒頭の1分14秒にわたって謝罪テロップを表示した。ところが「一部の『祭り』において開催実績や開催経緯などの説明に誤り」と認めたものの、「原点に立ち返り みなさまにより楽しんでいただける番組を目指して参ります」と結んだ。
騒動の原因や発覚後の同社の対応が二転三転した経緯の説明はないまま、事件の収束を急いだ感が拭えない。通常の番組に戻そうという意図が勝り過ぎている。
ところが実際には、放送への苦情や倫理問題に対応する第三者機関・BPO(放送倫理・番組向上機構)が動き出している。まだ他の企画や他番組への追及もあり得る。責任の所在を明らかにしないまま、早く次に移ってしまおうとする姿勢は、今の時代は最もマズい。日テレのゴタゴタは、今しばらく続く可能性がある。
そもそも同局は、今回の問題がなくても既に視聴率が下落傾向にあった。事件発覚直前の10月には、全日帯(6~24時)の視聴率でテレ朝に抜かれ、58カ月連続・足掛け5年に及んだ月間3冠の座から陥落していた。このままでは数年前のフジテレビのように、ずるずる勢いを失っていく可能性もある。
何が本当の問題なのかを考えてみた。
日テレの失速
秋改編を経た11月初め、早くもテレビ業界に激震が走った。長くトップで独走を続けた日テレが、10月期の月間3冠の座から陥落したからだ。
日テレにとって最大の敗因は、午前午後の帯番組だった。
朝帯(6~10時)の平均視聴率で見ると、今年2月まで日テレはテレ朝を上回っていた。ところが3~5月に僅差ながら逆転され始め、7月以降は差を付けられるようになっていた。
まず「ZIP!」(5:50~8:00)「スッキリ」(8:00~10:25)の不調が大きい。春頃より「ZIP!」は、テレ朝「グッド!モーニング」(4:55~8:00)・フジ「めざましテレビ」(4:55~8:00)の後塵を拝するようになっていた。「スッキリ」もテレ朝「モーニングショー」(8:00~9:55)・フジ「とくダネ!」(8:00~9:50)に遅れをとるようになっていた。
さらに昼帯の「ヒルナンデス!」(11:55~13:55)も、TBS「ひるおび!」(10:25~13:55)以外に、フジ「バイキング」(11:55~13:45)に敗れることが多くなっていた。「ミヤネ屋」(13:55~15:50)もひと頃の勢いをなくしていた。
朝帯だけではない。他にも視聴率で下落傾向にある番組や枠が散見される。
P帯(プライムタイム:19~23時)のドラマ枠は、14年に年間平均12%だったが、その後ズルズル下がり始め、今年は8%台前半に留まりそうだ。特に人気と実力を兼ね備えた水曜22時の“水曜ドラマ”枠の不調が痛い。
例えば14年には、「花咲舞が黙ってない」と「きょうは会社休みます。」の2作が16%となり、年間平均も12%あった。ところが今年は、「anone」の6.1%をはじめ4作全てが1桁で、年間平均も8%台が濃厚となっている。
朝や昼以外の帯番組も不調が目立つ。
深夜23時台の「news zero」は、15年の年間平均は9%近くあった。ところが今年は、8%以下に終わりそうだ。午後の帯番組「ミヤネ屋」も、14年の年間平均は9%だったが、今は7%ほどしかない。
地上波で唯一となった映画枠も変調をきたしている。
同じジブリ映画を何度も放送しながら、毎回高い視聴率をとってきた「金曜ロードSHOW!」(21:00~22:54)。時には他局の新ドラマ初回に強力な映画をぶつけるなどして、存在感を発揮してきた枠だ。ところがここも、14~15年は年間平均で12%台半ばあったが、今年は1桁で終わりそうだ。
同時多発的に随所で、弱点が目立つようになっているのだ。
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