隠した50億円は大統領選出馬資金? カルロス・ゴーンの「酒」と「女」と「社食ラーメン」

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“隠し資金”

 苛烈な経営手法から、“コストカッター”の異名で知られるゴーン氏だが、日産社内では“セブンイレブン”なんて呼ばれていた。

 そう語るのは、ゴーン氏を知る日産関係者だ。

「横浜市内にある本社の執務室には、だいたい朝の7時台には顔を出す。ランチも外に出ることはなく、社員食堂で大好物のラーメンや塩鮭定食で済まし、夜11時まで仕事をしますから、お酒を好んで飲むことはあまりないですね」

 そこは経営者。「酒」は溺れるものでなく投資の対象だ。

 さる洋酒の輸入販売業を営む経営者が言う。

「両親のルーツであるレバノンのワイナリーに、6年前から投資しています。その年の10月には、現地で投資参入を記念したパーティーも行っていますが、日本でも『IXSIR(イクシール)』というブランド名で販売していますよ」

 ゴーン氏の活動は日本とフランスにおさまらない。

 先の日産関係者によれば、

「彼は1年を3分の1ずつにわけて行動しています。日本と、ルノー本社のあるフランス、そして残った時間を第三国への出張に割り当てる生活を基本にしている。どの国でどれくらいの時間を過ごしたかは秘書が記録して、今後のスケジュール作りの参考にします。いつも、時間が足りないと忙しそうにしていますね」

 そんな彼が羽を休めるマイホームはどこなのか。実は米ニューヨークに拠点をもつという話もある。

「3年前に離婚して、2人目の妻との新居をニューヨークに構えたそうです。ベルサイユ宮殿で披露パーティーを開いて話題になりましたが、日産はゴーン氏が会社の資金を私的に支出したと発表していますから、その費用もつけ回されたのではと囁かれています」(同)

 自腹でも、億万長者にとっては安い買い物だろう。

 いったいせしめたお金はどこに消えたというのか。

「明るみに出た50億の“隠し資金”は、前妻との離婚訴訟費用に充てたという話もありますが、それだけでは額が法外すぎます」

 とは、ゴーン氏にインタビューしたこともある経済ジャーナリストだ。

「ここにきて、関係者の間で囁かれているのが、この“隠し資金”の一部を、ブラジル大統領選の出馬資金にしようとしていたのでは、という話です。日産の再建という勲章を手にして昨年は会長に退きましたが、彼は超のつくほどの野心家。還暦を過ぎた身の振り方として、政界進出を視野に入れていてもおかしくない」

 実は、経済危機に陥ったブラジルでは、“ゴーン大統領待望論”が起こっていた。

「リオ五輪でゴーン氏は聖火ランナーを務め、日産はスポンサーとして約250億円を拠出。ブラジル出身者で財を成した成功者として、国民の間には強烈な印象があり、大統領に推す声が絶えません。今でも彼は、多忙の中で毎年8月と年末年始は必ずリオを訪れて親族と過ごすなど、地元を大切にしています」(同)

 昨年1月、経営者の半生を綴る日経新聞の名物連載「私の履歴書」の冒頭で、ゴーン氏はこう語っている。

〈もしかしたら本来の自分に戻れる場所がリオなのかもしれない〉

 異国の地で縄を打たれてしまった彼は、その思いを強くしているに違いない。

週刊新潮 2018年11月29日号掲載

特集「200億円荒稼ぎ! 『カルロス・ゴーン』の『酒』と『女』と『社食ラーメン』」より

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