FAの目玉「丸佳浩」が望む長期契約 日本では止めたほうがいいと言われる理由
最優先の条件とは
遂に巨人と交渉――。FA宣言している広島の丸佳浩外野手(29)は11月24日、都内のホテルで、関係者と面談を行った。原辰徳監督(60)も同席したという。
***
丸は巨人に行くのか、はたまたロッテか、もしくは大逆転の広島残留か――。ファンの関心も報道も、過熱する一方だ。スポーツ紙によると、3球団が提示した条件は、次のように伝えられている。
【巨人】
「5年総額30億円規模の大型契約」(サンケイスポーツ:11月25日)
「5年総額30億円超」(日刊スポーツ:11月15日)
【ロッテ】
「4年20億円規模の条件」(サンケイスポーツ:11月25日)
「6年25億円規模」(日刊スポーツ:11月23日)
【広島】
「4年総額17億円前後」(サンケイスポーツ:11月25日)
「4年総額17億円」(スポーツ報知:11月22日)
まずプロ野球ファンにとって驚天動地のトピックは、ロッテの“企業努力”だろう。失礼だが「ケチ」の評判もなくはない球団が、20億とか25億という金額を提示したのだ。
さらに「丸が千葉県勝浦市の生まれ」や「将来の監督就任を確約」、「子供のために『コアラのマーチ』を用意」といったトピックもスポーツ新聞を賑わせた。熱い情熱が伝わってくるのは間違いない。
そして本命視する声も少なくない巨人だが、3球団で最高の年俸額というだけでなく、実は巨人の歴史上でも、FAで最高の条件を提示したのだ。
これまで1993年の落合博満(64)から2017年の野上亮磨(31)まで24人の選手が巨人にFAで移籍した。その中で契約の最高額は、11年に杉内俊哉(38)と結んだ「4年20億円」だった。
あの杉内を1.5倍も上回る厚遇。ご存知の通り、プロ野球選手にとって「年俸」は「評価」と同義だ。アンチ巨人にとっては歯ぎしりするほど悔しい状況だろうが、丸が意気に感じた可能性は否定できない。FAを熟知した球団らしい“横綱相撲”というイメージだ。
最後の広島だが、やはり“貧乏球団”だけあり、条件は最も見劣りする。丸は23日に広島のファン感謝デーに出席。これを同日の日刊スポーツ電子版は「広島丸『決断を1日でも早く』ファンから残って~!」と報じたが、「残留を望むファンの声」が唯一の切り札と言えるだろう。
では肝心の丸は、3球団の条件をどのように考えているのだろうか。スポーツ紙の記者が明かす。
「そもそも丸がFA権を行使したのは、実は昨年に広島が提示した条件に落胆したからです。17年12月、丸は推定2億1000万円でサインしました。ところが、丸が本当にこだわっているのは年俸ではなく、契約年数なんです。広島は国内FA権を引き留めるための複数年契約を示しませんでした。これに不満を抱いたようです」
つまりスポーツ紙記者は「丸が依然として契約年数を重視し、なおかつ、日刊スポーツの“6年契約”という報道が事実であれば、ロッテの大金星もあり得る」と予測する。
「とはいえ、ご存知の通り、様々な情報が飛び交っています。サンケイスポーツと日刊スポーツは、“巨人5年総額30億円”で足並みが揃っているとはいえ、水面下でさらなる好条件を示しても不思議はありません。原辰徳監督は丸選手を『どうしても欲しい選手』とし、フロントも『復帰してもらったばかりの原監督に恥はかかせられない』と何が何でも獲得する方針のようです」(同・スポーツ紙記者)
メジャーリーグは破格の長期契約が珍しくない。例えばマーリンズは14年、外野手のジアンカルロ・スタントン(29)と13年総額3億2500万ドル(約373億7500万円)で契約を延長したと発表。「米スポーツ選手のチーム契約では、史上最高総額」と大きく報じられた。
「松坂大輔(38)も06年にレッドソックスと6年総額5200万ドル(約61億円)で合意しました。田中将大(30)も14年にヤンキースと7年総額1億5500万ドル(約161億円)と報じられました。ところがMLBでは、どんな長期契約であっても、解雇を巡る取り決めが結ばれ、付帯条項として明記するのが一般的です。クビになったわけではありませんが、スタントンも17年のシーズンオフにヤンキースへトレードされました」(同・スポーツ紙記者)
ところが日本のプロ野球では基本的に、契約は全うされる。そのため3〜4年の契約が多い。ソフトバンクの柳田悠岐(30)は17年、「年俸5億5000万円+出来高」の3年契約でサインしたとされているが(「SB柳田悠岐『5.5億×3年』の大型契約更改の波紋」NEWSポストセブン:18年1月9日)、これが代表例だろう。
[1/2ページ]