“最恐”の金融庁前長官、コンサル会社を異例の起業

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 その苛烈な指導から銀行界のみならず、部下からも“歴代トップのなかで最強、最恐”と畏怖された金融庁の森信親前長官(61)。今年7月17日に霞が関を去り、米コロンビア大学の非常勤教授と上席研究員に就任したと報じられていた。てっきり海外に移住したかと思えば、実は国内で密かに会社を興していたのである。

 森氏が代表取締役を務めるのは、「日本金融経済リサーチ」なる会社だ。登記簿に記載されている設立日は今年7月24日。つまり、退任1週間後には会社を設立した計算で、他の取締役には森氏の妻と思しき女性が名を連ねている。

 また、登記簿上の本社所在地は目黒区にある地上33階、地下3階のオフィスタワー内だが、容易に看板を見つけることはできない。森氏のかつての部下だった金融庁のキャリア官僚も驚きを隠さない。

「9月上旬、都内ホテルで今夏に退任した財務省と金融庁幹部の慰労会がありました。そこで森さんと話しましたが、会社を興したとはまったく聞いていません。霞が関の長い歴史のなかで、退任直後に起業した次官や長官はいないと思います」

 そこで森氏と親交のある財務省OBに聞くと、

「森さんから、9月末に財務省OBが顧問を務める大手法律事務所と顧問契約を結んだと聞きました。彼が7月に起業したことはほとんど知られていません。これまで挨拶回りや米国での暮らしを整えるのに忙しかったので、ようやく本格的に“営業活動”を始めるのではないでしょうか」

 再び登記簿を見ると、業務内容は〈企業経営に関する助言、指導〉などとある。つまり、コンサルタント会社なのだ。森氏の関心が事業再生となれば、経営の厳しさが増す地銀がターゲットの一つになるのは間違いない。大手地銀の幹部が顔をしかめる。

「森さんにはイジメられた記憶ばかりです。コンサルタント契約の話が持ち込まれたら無下にできないので、セールスの電話がないことを祈るしかありません」

 退任後も、森氏の“最恐伝説”は続く。

週刊新潮 2018年11月22日号掲載

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