「雨の園遊会」で両陛下を守ったビニール傘 メーカー社長は“感無量”

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 平成最後の園遊会は、生憎の雨だった。天皇皇后両陛下は歩きながら招待客に労いのお言葉をかけられたが、よく見るとお二人を雨からお守りしたのは我々も使うビニール傘ではないか。

「あれは、うちが作ったビニール傘です」

 こう語るのは、台東区にあるホワイトローズの須藤宰(つかさ)社長(63)だ。社名はカタカナながら、創業1721年(享保6年)の老舗で、4代目が煙草商から雨具商に転業して、5代目から幕府御用達に。ちなみに、須藤社長で10代目になる。

「六十数年前、世界初のビニール傘を開発したのが先代の父でした。ビニール傘を手掛ける会社は国内に50社ほどありましたが、安価な輸入品に押されて、今、国産メーカーはうちだけです」

 両陛下の御用達になったのは8年前のこと。

「神奈川県で植樹祭が行われた時、県職員が両陛下にうちの傘をご用意したそうです。しばらくして、宮内庁から“皇后陛下がお気に召して、園遊会などでもお使いになりたいと仰っている”と連絡がありました」

 ホワイトローズのビニール傘は骨がグラスファイバー樹脂で、風速20メートルにも耐えられる優れもの。軽くて丈夫なので、選挙時に使う政治家も少なくないが、

「従来品の重量は約600グラムで、傘を持つ皇后陛下のご負担になる。そこで4カ月間かけて100グラム以上軽量化したほか、外からの雨風を防ぎながら傘内部の風を逃がす工夫を施して、天皇陛下に1本、皇后陛下に4本納めました」

 その後、須藤社長は1本8640円(税込)の高級ビニール傘“縁結(えんゆう)”を発売して好評を得た。

「昨年、宮内庁から再び注文があり、両陛下に4本ずつ納めました。平成最後の園遊会でも、お使いになっていただき感無量です」

 多くの人の視線を遮らないようビニール傘を使う美智子皇后。次の世代にも引き継がれるのだろうか。

週刊新潮 2018年11月22日号掲載

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