“お姫様抱っこ”で女性を監禁 余罪300件の男が告白した「生い立ち」と「髪の毛への執着」

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「気の弱い優しい子」

 横浜拘置支所の面会室。刑務官に促され、向こう側の扉の小窓から栗田が顔を覗かせる。こうして私を確認すれば扉が開き、ほどなく栗田が目の前に座る。

 逮捕時の恰幅のいい映像とは別人だった。半分ほどに痩せ、髪を長く伸ばし一つに結んでいる。ジャージにTシャツという、ラフな服装。どれほどの頻度で洗濯をしているのか、清潔感はない。無精髭を生やし、声はくぐもって聞き取りにくい。こちらを警戒しているのか、目が泳ぎ、常に薄ら笑いを浮かべる。

 きっかけは、知人女性の存在だった。彼女はかつて児童養護施設の職員だったが、当時、彼女の担当だった幼児の一人が、2歳から3歳の栗田良文だった。事件を報じる映像を見て、女性は30年も経っているというのに、すぐに栗田だとわかった。震えるほどの衝撃だった。

「良文くんは小鳥さんみたいなお口をした、かわいい子。要領のいい賢い子ではなく、気の弱い優しい子」

「あの子は0歳から18歳まで施設、里親、そして施設と社会的養護の場で育ったの。なぜ、誰も彼の問題に気づけなかったのか」

 彼女は「自らの責任」として栗田を留置場に訪ね、面会や手紙などのやりとりを続けていた。私も栗田に手紙を送り、面会室の扉を開けた。

 週1の面会は計16回に及び、手紙は9通受け取り、こちらも4通送っている。その中で栗田が繰り返し訴えていたのが、冒頭の「生い立ち」と「髪の毛」だった。

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