日テレ“3冠王”を阻止したテレ朝 今後の2強対決をデータから読み解く
敗因は朝の帯番組
全日帯は朝6時から24時まで、1日のうちの18時間で競っている。よって多少弱い時間帯があっても、他の時間帯で圧倒すれば欠点は帳消しにできる。
日テレとテレ朝の競争については、朝帯(6~10時)とP帯(19~23時)の4時間ずつが、全日帯の結果を比べる際に分かりやすい。
今年2月までの日テレは、朝帯でテレ朝を上回っていた。ところが3~5月に僅差ながら逆転され始め、7月以降は0.5%ほどの差を付けられるようになっていた。
日テレの大久保好男社長は10月の定例会見で、「平日午前・午後のベルト番組が少し苦戦」「特に朝帯はフロー(註:番組の流れ)の改善に全力を尽くしている」と発言していた。「ZIP!」(5:50~8:00)、「スッキリ」(8:00~10:25)が課題であり、続く「PON!」(10:25~11:30)を今回の秋改編で終了し、「バゲット」(同)をスタートした。ところが、改編直後の10月時点では、流れは上手く改善できているとは言えない状況だった。
それでも朝帯で0.5%ほど負け始めた今年7月以降でも、7~9月のP帯は1%以上日テレが上回り、朝の失点を挽回できていた。ところが10月、朝帯で0.5%負けたが、P帯は0.3%しか巻き返せなかったのだ。
決定的だったのは、両局のドラマ3枠だった。1カ月平均で5%以上の差がついたのが大きい。P帯は1週間で28時間ある。その内ドラマ枠の3時間で5%の差が生じると、P帯平均を0.5%押し下げる。9月の1%差が0.3%に縮まった最大の要因と言えよう。
さらにドラマだけでなく、バラエティも失速気味なのが気になる。視聴率のジャンル別週間ベスト10で見ると、今年度上半期の日テレのランクイン率は69%だった。ところが10月は58%とやや数字を落としている。
逆にテレ朝は、1年前と比べてP帯で18.5時間分もバラエティ番組が視聴率ベスト10入りした。圧倒的だった日テレの牙城を、まだまだ一部だが崩し始めたのが奏功したと言えよう。
テレ朝の実力は本物か?
では全日帯で日テレを凌駕したテレ朝の強さは、どの程度本物と言って良いだろうか。
3つの時間帯の数字を見る限り、全日帯こそ0.1%上回ったものの、G帯では0.6%・P帯では0.3%下回り、夜帯では日テレに届いていない。ただし両局の差は、かなり詰まって来ている。
17年度で見ると、P帯では2%近くも引き離されていた。それが今年度上半期では1%強、そして10月には0.3%差までに迫ったのだ。
日テレの敗因はドラマ3枠で月平均5%以上の差がついたことが決定的と前述したが、実は、テレ朝は去年の10月の時点でもドラマ3枠の平均視聴率では、日テレに5%の差をつけていた。「ドクターX~外科医・大門未知子~」が20%ほども獲っていたのが決定的だった。
それが1年でP帯の差を1.5%も縮めたのである。テレ朝にとって最大の功績は、最も分量の多いバラエティ枠だった。
去年10月にテレ朝で視聴率ベスト10に入ったのは3本だった。ところが「帰れまサンデー」など日曜午後帯が2番組を占め、P帯はスペシャルの「ポツンと一軒家」1つだけだった。つまりP帯のレギュラー番組は皆無だったのである。
ところが今年10月は、「帰れまサンデー」を「帰れマンデー」と、P帯のレギュラーに昇格させ、数字をとるようになっている。また不定期のスペシャルだった「ポツンと一軒家」を、秋改編でレギュラーとした。これがランクインの常連に名を連ねるようになっている。明らかにP帯バラエティが改善されている。
ただし今期10月の主役は、期末期首のスペシャル番組だった。
●「Qさま!3時間SP」12.4%
●「アメトーーク3時間SP」12.2%
●「帰れマンデー3時間SP」13.8%
●「芸能人格付けチェック3時間SP」12.6%
●「くりぃむクイズミラクル2時間SP」12.5%
これらスペシャルが減った月後半は、新レギュラー「ポツンと一軒家」しかランクインしなくなっている。つまり11月以降は、SP番組だけでなく定曜定時のバラエティでどこまで勝負できるか、同局の強さが本物か否かを見極める鍵となろう。
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