「イッテQ」ヤラセ疑惑をライバル局の制作スタッフはどう見たか 最大の罪は?

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くるくる回る”ボール“の怪

 とりあえず、急激な人気低下は免れたようだ。「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系列:日曜午後7時58分~午後8時54分)のヤラセ疑惑を週刊文春が報じたが、視聴率に大きな変化は生じなかった。

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 そもそもの発端は、11月8日に遡る。この日に発売された週刊文春(11月15日号)が「日テレ看板番組に重大疑惑 『イッテQ!』は宮川大輔『祭り〈企画〉』をでっち上げた」と大きく報じたのだ。

 文藝春秋のネットメディア「文春オンライン」も発売日に先立つ7日、「日テレ『イッテQ!』にラオス『橋祭り』やらせ疑惑」と、週刊文春の記事掲載を告知する“予告編”を掲載した。こちらは現在も無料閲覧が可能だ。

 番組の内容も週刊文春の記事もご存知ない方のために説明をしておくと、「イッテQ」には「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」という人気コーナーがある。お笑い芸人の宮川大輔(46)が世界中の“奇祭”をレポートするという内容だ。

 週刊文春が問題視したのは、「イッテQ」で今年5月20日に放送された「橋祭りinラオス」。文春オンラインには番組で紹介された祭りの場面も掲載されている。

 場所はラオスの首都ビエンチャン。祭りの会場とされた場所では、地面に巨大な長方形の穴が掘られ、プールのような区画が作られた。そこに水を満たして泥沼にする。中央部には木製の粗末な板を架け渡す。これが即席の橋だ。長さは25メートル。この橋を自転車で無事に渡れるかどうかを競うという内容だ。

 バランスを崩せば泥水に落下してしまう。これだけでも非常にテレビ映えがいい。しかも、橋の中央部分では相当に大きなボールが4つ、くるくると回って障害物の役割を果たしている。インパクトは比類ないが、これは後で詳述する。とにもかくにも文春の記事内容の根幹は、

【1】ラオス人の誰もこの祭りを知らない。そもそもラオス人が自転車を使う機会は少ない。外国人観光客がレンタサイクルに乗るくらいだ。

【2】取材してみると、日テレ側が企画を持ち込み、現地にセットを組み、参加者には番組から賞金を渡したことが判明した。

 という2点になる。これに対して日テレは8日に文書で反論を行った。まず【2】に関しては、

【3】企画は、現地からの提案を受けたものだ。番組サイドで企画したり、セットなどを設置したりした事実はない。番組から参加者に賞金を渡した事実もない。

 と全面否定。しかしながら、

【4】番組では、この場所で祭りが毎年行われていると報じたが、この会場で初めての開催であることが判明した。毎年行われているかのような、誤解を招く表現については、真摯に反省する。

 と謝罪も行った。「この会場で初めて開催された祭りだった」という回りくどい表現に胡散臭さを感じた向きも少なくなかっただろう。

 日テレの反論を受け、週刊文春側は同じ8日にコメントを発表。取材で得た証言を元に記事を作成したとし、内容に自信を示した。そして日曜の11日を迎え、「イッテQ」が放送されたわけだ。

 すぐにビデオリサーチが視聴率を算出。例えばスポニチなら12日(電子版)に「『イッテQ』平均視聴率16.6% “やらせ疑惑”報道後初の放送 根強い人気示す」と報じた(編集部註:平均視聴率は関東地区、以下同)。

 前週の4日に放送された回は18.3%だったため、1.7ポイントの減少だった。大幅な下落も上昇も見られなかったことになる。

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