あなたは韓国で犬肉を食べたのではないか?「桜田義孝」五輪相が野党議員の珍質問に怒髪天
「犬肉でしたか?」と質問
大島九州男参院議員(以下、大島):桜田大臣、お友達や有権者の皆さんと韓国に訪問されたこと、ございますよね?
桜田義孝五輪相(以下、桜田):あります。
大島:そこで、すき焼きのような食事をされたことはありますか?
桜田:すき焼きは食べたことあります。
大島:その肉が、犬肉だったんじゃないかというのをお友達から聞いたんですけど、犬肉をそこで食べたという話なんですけど、犬肉でしたか?
桜田:お答えします。私は犬の肉は一切食ったことがないので分かりません。
大島:すき焼きのようなものを食べた場所にはいらっしゃったことはありますよね?
桜田:私はどこの場所だかも全く分かりません。韓国に行ったことはあります。そして焼肉も食べたこともあります。しかし、犬はございません。記憶も何も。友達もそういうことを言った人はいないと信じております。
大島:まあ、それはそれで(一部の議員が笑う)いいんですが、あのですね、動物愛護の運動が今、色んな盛んに活動されておられる方がいらっしゃいますけど……。
文字面からは分かりにくいが、動画の桜田大臣は仏頂面で口調は荒く、不機嫌になったことは一目瞭然だ。
ところが、大島議員の桜田大臣に対する質問は、これで終了してしまう。大臣が放置された格好になるのも構わず、大島議員は「日本における食用犬肉の輸入量」などの質問を続けていく。
そして大島議員は根本匠厚労相(67)に「台湾で犬肉禁止の法律が制定されたのをご存じでしょうか?」と問う。根本大臣は「昨年4月に台湾において犬や猫の肉を食べることが禁止された、の報道があったことは承知しています」と答弁する。
大島議員は安倍晋三首相(64)に「日本でも必要ではないか?」と質問。安倍首相は明確な回答を避けるが、消極的な姿勢を示す。すると、政権が入管法改正を進めていることを前提に、大島議員は以下のように指摘した。
「外国人が多く(日本に)入ってきて、その食文化、まさに中国、ベトナムの人は犬肉を食べる文化がある。そういう人たちが増えて、(犬肉料理を提供する)お店も(日本国内に)ある」
各国固有の食文化を尊重することは重要だ。しかしオリンピックで外国人観光客が今以上に増加し、入管法改正が実現すれば、今以上に外国人労働者へ門戸が開かれる。こうしたことを踏まえ、日本も台湾のように「犬肉の食用禁止」を法制定すべきではないか――。大島議員は、こう主張したわけだ。政治担当記者が言う。
「まあ、基本的に予算委員会では閣僚や官僚に対して、どんな質問でも行うことが可能です。特に野党議員の場合、質問の自由は最大限に尊重されなければなりません。とはいうものの、本当に桜田大臣に『犬肉を食べたのか?』と質問する必要があったのか疑問ではあります」
大島議員の公式サイトを見てみると、動物愛護運動に力を注いでいるのは明らかだ。そういう意味では、政治家としてのライフワークに根ざした質問だったのは間違いない。
「大島議員は『オリンピックで様々な食文化を持つ外国人観光客が来日する』ということを質問の理由にしていました。とはいえ、やはり“話題の桜田大臣を攻めておこう”という意図も見え見えでした。もし桜田大臣が犬を食べたことを認めれば、法律に抵触するようなことではなくとも、何らかの形で報道された可能性がある。動物保護に熱心な有権者が離反する可能性も考えられます」(同・政治記者)
冒頭の質問で「つかみはOK」といった感じの質疑応答が行われた後は、大島議員は桜田大臣を放置してしまったのは、先にご説明した通りだ。
「桜田さんは、ちょっとダシに使われたようなところもあり、その点は同情します。答弁でも桜田大臣は立腹を隠せない様子が鮮明でしたが、委員会が終わると、本当に怒り狂っていたそうです。『とんでもない質問だ。オレは犬なんか食べていない』とね。とはいえ、犬を食う自由も存在するわけなんですが……」(同・政治記者)
質問した議員にも問題はあるだろうが、大臣が狙われるのも、元はと言えば「身から出た錆」である。まさに、どっちもどっち。国政の場で、こんな議論が行われた。笑えるような、笑えないような、奇妙な味わいの一幕だった。
桜田大臣が“大臣病”に罹患していたのは永田町では有名な話だったという。しかしミスを連発して恥をかき、こんな“ドッグファイト”も仕掛けられてしまう。ひょっとすると今になって、病は急速に完治したかもしれない。
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