葬式ボイコット、ゴミ出し禁止… 弁護士が教える「現代の村八分」と戦う方法

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村八分は脅迫罪や名誉毀損罪に当たり得る

 前述の事例は氷山の一角に過ぎない。「法務局及び地方法務局管内別 人権侵犯事件の受理及び処理件数」によれば、2006~16年までの11年間で、日本全国で316件の村八分が発覚している。最も多かった自治体TOP5は、名古屋34件、岐阜16件、長野14件、静岡13件、新潟12件。5市ともすべて中部地方となっている。

「近年、過疎化に悩む地方自治体は、移住を歓迎しているため、都会からの流入者が増えはじめました。しかし残念ながら、自治体側と住民側が必ずしも同じ意見であるとは限りません。これからも移住者が増えてくると、閉鎖的なコミュニティでは、村八分のような事例がさらに顕在化してくる可能性はあるでしょうね」(濱門氏、以下同)

 では、村八分は法的にどんな問題があり、村八分に遭った場合、被害者はどんな請求ができるのか。

「刑事では、被害者への人格の否定や、名誉を傷つけることで脅迫罪や名誉毀損罪に当たり得るでしょう。民事では、村八分をされることで社会生活上、大きな困難を生じたり、人格権が侵害されるため、差し止め請求や慰謝料請求の対象となる可能性があり得ます」

 平成においても何度か村八分の裁判が行われており、慰謝料の支払いが認められている事案もある。津地裁1999年2月25日判決では、地域住民が原告に対して慰謝料30万円を支払うことを命じられた。大阪高裁2013年8月29日判決でも、原告1人あたり44万円の慰謝料が認められている。いずれも、人格権を違法に侵害したという理由での支払い命令だ。

「また最近の事例だと裁判だけではなく、弁護士会が自治会に是正勧告を出すことがあります。これは極めて稀なことで、それほど自治会による村八分が非常に悪質だということでしょう。是正の勧告にも従わない自治会は、社会と断絶しているといえます」

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