原監督が「岡本和真」に禁煙命令も、巨人名選手には喫煙者がズラリの事実
90年代から分煙化が進む
そんな「昭和の球界」に異議が唱えられるようになるのは、90年代からだ。巨人のエースだった桑田真澄氏(50)は現役中に分煙を訴えたのだが、これに反発したのが大久保博元氏(51)だ。2人は巨人の現役中、犬猿の仲として知られている。
1996年、「アサヒ芸能」(6月13日号)の記事「デーブ大久保vs桑田真澄『金髪スモーカーを口説いているくせに何が禁煙だッ』」によると、95年に引退した大久保氏のトークライブで、禁煙を巡って桑田氏に関する暴露話が炸裂したのだという。
《例えば、去年春先に桑田がロッカールームでの禁煙を提案したことについては、こんなふうに言う。
「だいたい彼は六本木でタバコをプカプカ吸ってる金髪女性を口説きまくってたんだよ。それが禁煙、禁煙というのはおかしいよ」》
プロ野球選手の喫煙状況を、スポーツ紙の記者に訊いてみると、「競技の特性もあって、吸いやすいみたいなんですね」と言う。
「サッカーのように、ずっと走り回らなければならないとなると、試合中の喫煙は不可能でしょう。ところが野球は守備と攻撃の合間など、ちょっと一服できる時間に恵まれています。しかも、水泳、サッカー、バスケ、バトミントン、テニスというハードなスポーツとは比較にならないほどの軽い運動量です。身体に極端な負担を求めるスポーツではないので、プロの野球選手でもタバコが吸えてしまうんですね」
原監督は会見で「青少年育成」と口にした。どうも喫煙の身体的な悪影響より、「タバコを吸うことで生じるイメージ悪化」を懸念しているという。
「そもそも原監督だって、現役時代は吸っていたこともありました。そんな監督が岡本に禁煙令を出したのは、見た目の問題も大きいんです。今は“タバコ=悪”という図式が定着してしまいましたからね。岡本が喫煙することでファンが離反することを心配し、そのための忠告と受け止めるべきでしょう」(同・スポーツ紙記者)
表をご覧いただければ、原監督も禁煙一本槍ではないことが分かる。東野峻には厳しい注文を付けたが、木村拓也と谷佳知には好意的な文脈で回顧する発言が報道されている。
またタバコを吸うと、選手寿命が短くなるというわけでもないようだ。こちらも表にあるが、ソフトバンクを日本一に導いた工藤公康監督も、球界では有名なヘビースモーカーだ。
しかし47歳まで現役を続け、実働29年は1位タイ。年齢別最多勝、40歳以降2桁奪三振試合数、46歳4か月の最年長ホールドなど、年齢にまつわる数々の記録を打ち立てている。
プロ野球界が、あまりクリーンすぎてもつまらない。ただでさえ、豪傑が少なくなっている時代だ。くわえタバコでホームラン王に輝く4番打者がいても面白いのではないだろうか。
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