年金受給、何歳からが正解か? 考えるべきは「寿命」ではなく「余命」

ドクター新潮 その他 年金

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遅ければ遅いほどよし

「年金受給」のスタートは老後の人生を決める一大事。何歳で貰い始めるのが正解なのか。

 振り返れば、複雑怪奇な年金システムは、“人生イロイロ”なんて誤魔化す政治家たちによって“改革”されてきた。ゆえに、70歳で得をするというのは政府の罠、年金制度の“大改悪”と考えるムキも多かろう。

 結論から初めに言えば――年金受給のタイミングは遅ければ遅いほどよい。

 以下、その根拠について、斯界のプロが明かす最新の知見を基に検証していく。

「繰り下げれば繰り下げた分だけ、受給額が月0・7%、年間で8・4%も上がる。このご時世、そんな利率の金融商品はありませんよ」

 とは、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏だ。

「定年後に収入のアテがない方も、アルバイトをしてでも受給を遅らせた方が得策だと思います。基準とされる65歳から受給を始める人と比較して、その損得分岐点を計算してみましょう。例えば繰り上げて60歳から受給する人は、開始時期が早いので75歳までは総支給額で得をしますが、それ以降は損になる。反対に最も繰り下げて70歳から受給を開始すれば、82歳で得をするのです」

 定年後のお金に詳しい、特定社会保険労務士の稲毛由佳氏が話を継ぐ。

「試算する際の目安は、『支給開始年齢+12歳』で、そこで知るべきなのは何歳でプラスになるのかということです。最も繰り下げた受給開始で82歳以降に得をすると言われても、男性の平均寿命は81・09歳ですから、大概の人はピンとこないかもしれません。大切なのは平均寿命でライフプランを検討するのではなく、平均余命で考えることなんです」

次ページ:平均寿命の推移と「平均余命」早見表

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