“安倍歓迎”に豹変 中国「習政権」の下心とは

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 競争から協調へ――。今般、中国を訪れた安倍首相が日中関係の原則として掲げたスローガンだ。これまで歴史問題を中心に対立してきた日中関係だが、今回の習近平国家主席との会談では融和ムードが全開。日中平和友好条約締結40年ということも後押ししたようだが、これについて全国紙国際部デスクは、

「終戦ではなく、停戦ですね。米中間の貿易戦争が、“新冷戦”と言われるほどに深刻化するなか、一時的に日本との対立を弱めたい中国側の思惑です。従来、安倍首相絡みの報道では概して批判的だった中国の国営放送も、掌返しで褒め称えるニュースが目立っている。歴史認識よりも経済連携の強化が急務と捉えたのでしょう」

 中国が考える経済連携といえば、現代版シルクロードと称する「一帯一路」。中国を中心とした経済圏の形成には、日本国内では批判の声が根強い。が、

「今回の訪中に合わせて、第三国市場協力フォーラムという会が催され、密かに一帯一路と100%同じ覚書が締結されたんです」

 とは、中国事情に詳しい富坂聰拓殖大教授だ。

「名称を変え、日本がアメリカや自国から批判されないよう配慮する、中国側の外交手腕が光りました。日本ブランドを掲げながら東南アジアの開発に着手出来るのは、中国にとって非常に大きな財産ですからね」

 結果、52の政府機関や企業が覚書を締結しており、一帯一路の大きな一歩となった。一見、日本経済にも大きな効果を見込めるが、長い目で見た時に不安視するのは先のデスク。

「米中間の技術協力が今後減っていくなか、最先端産業の超大国を目指す中国は、日本の技術力が何よりも欲しい。経済連携をしていく中で日本独自の技術が盗まれ、中国だけが成長するリスクも考えなくてはなりません」

 共創から凶兆へ――とならないように、ご用心。

週刊新潮 2018年11月8日号掲載

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