韓国と日本、間違った歴史認識を持つのはどちらなのか

国際 韓国・北朝鮮

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幻の「対日戦争」

 韓国が教科書などで「歴史」として教えているのは、「帝国主義日本に対して、われわれは独立運動を戦い、日本の圧政を打ち破って建国を達成した」という「建国イデオロギー」だ。つまり、今日の韓国人の祖父やその上の世代が、国を守るために日本と独立戦争を戦い、勝利した、というストーリー。

 しかし、これはかなり事実と異なる。

「日本は一度も韓国と戦争したことがなく、韓国に戦争で負けたということもありません(略)

 韓国という国は1948年になって成立しています。日本を打ち破って建国したというなら1945年のはずです。

 また、独立運動というのですが、韓国の教科書を読んでも、指導者や根拠地がころころ変わり、どう見ても一貫性がありません。いろいろな抵抗勢力が散発的にテロを行ったというのが実情です。歴史教科書は、南京に臨時政府を作ったとも主張するのですが、これは国際的に認められていませんでした。国際会議に出ていたというのですが、国や地域の代表として参加したという実績はありません。

 だからこそ、日本の敗戦後、韓国と北朝鮮はそれぞれ3年もの間、アメリカとソ連に委任統治されることになったのです。そのあいだに、アメリカとソ連の指導のもとに国を作る体制を整えて1948年に建国したのです。

 連合国とくに米・英・ソが、日本が戦後再び大陸進出する可能性を考え、その足掛かりを奪うという恣意的な理由で、朝鮮半島を日本から切り離すことをカイロ会談で決めました。しかし、朝鮮半島を空白地帯にしておくわけにはいかないので、戦後米ソ冷戦体制のもとで自由主義と共産主義の二つの国を建国させることにしたのです。

 ということは、日本と独立戦争を戦ったというのも、また、それによって独立したというのも、歴史的事実ではありません。これは歴史ではなく『建国イデオロギー』です。

 にもかかわらず、建国後アメリカの意向をうけて韓国大統領になった李承晩は、自分がかつて携わって、実らなかった抵抗運動を賛美し、しかもそれが建国に結びついたと偽り『建国イデオロギー』を作りだしました。自分の大統領としての正統性を訴えるためのフィクションです」

 このように事実を踏まえていけば、独立戦争で勝利した、といったストーリーに無理があることは明白だろう。ではなぜ、この「建国イデオロギー」を韓国は踏襲し続けるのか。

「李は独裁者として国を追われるのですが、韓国はその後もこの『建国イデオロギー』にかわる、国家としての正統性を訴えることができるイデオロギーが見いだせず、かといって、いまさらアメリカなど戦勝国のご都合主義によって生まれたという歴史的事実を直視することもできず、追い出した独裁者の『建国イデオロギー』を微修正しながら現在に至っています」

都合のいい「反日」

 もちろん、日本においてもイデオロギーを軸とした歴史観を語る人は、左右両陣営に存在しているだろう。しかし、日本の場合、その両者や中間にいる人たちが自由に意見を表明して、議論ができる環境にある。また、少なくとも歴史教科書はイデオロギーではなく、ファクトに基づこうという姿勢で作られている。あまりに極端な人はキワモノ扱いだ。

 この点は中国や韓国と異なるところだろう。

「韓国のメディアも、独裁制が最近まで続いていたために、党派性が強く、煽情主義に流れ、事実を重んじているとはいえません。日本では、メディア、とくに新聞に対する国民の信頼度は次第に下がってきていますが、韓国の場合はもともと低く、それが『オーマイニュース』のような市民参加型のインターネット新聞サイトが力を持つようになった理由です。中国のようにメディアが完全に共産党によってコントロールされているわけではありませんが、もともと寡占状態にあるメディアが客観性に問題がある報道をしているという困った状況にあります。

 これら中韓2カ国では、歴史とは『建国イデオロギー』を骨格に歴史的事実を断片的に張り合せたものです。一方は共産主義、一方は独裁主義でしたが、その『建国イデオロギー』で共通するものは『反日』です。

 それも、歴史的事実を踏まえた『反日』ではなく、彼らの『建国イデオロギー』を正当化するための都合による『反日』なのです」

 山口氏に代表されるタイプの知識人は、ともすれば日本側の歴史認識について過敏に反応する一方で、韓国や中国のそれにはとても鷹揚だ。多くのメディアもそうした姿勢を取ってきた。しかし、そうした「物わかりのよさ」が、本当に隣国との関係改善につながってきたのか。徴用工の判決は、こうした問題も突きつけているのだ。

デイリー新潮編集部

2018年11月8日掲載

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