決算書には「浜崎あゆみ」の名も 被害額50億円“インチキ会社”

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浜崎の「いやな思い」

「慶大卒で、首都大学東京理事長の島田晴雄氏のゼミ出身。自分は“島田会”のトップだと言い、その縁で小泉純一郎元首相とも親しいとか。その2人の名前を使い、“自分には信用がある”と売り込んでいました。クレジットカードの会員用コンシェルジェサービスを通じて、VIPに人脈を築き、4、5年前から投資話をVIPに持ちかけるようになったんです」

 と、先の関係者。その手口については、別の関係者が説明する。

「“自分は世界に顔が広く、いろんな運用先を知っているので、お金を預けてほしい”が口癖。イプシロン・グループには何社かあって、スクエアードの社債として集めた資金は“欧州の投資銀行に預け、ファンドを組んで運用してもらう”という話で、年利20%と聞かされた人も。月4~5%の利息が振り込まれた人もいましたが、すぐ利息の振り込みはなくなり、償還期限が来ても、元本を戻してくれなくなりました」

 投資家たちが、どうなっているのか詰問すると、

「“香港の銀行に100億円を預けたが、その口座にマネーロンダリングの疑いがかけられ、凍結されてしまった。だから運用できない”との説明でした」(同)

 その後もなんら支払われていないが、被害者は上場企業の社長クラスが多く、

「会社から出資している場合、事が表に出ると株主への報告義務が生じるなど厄介なので、腹を立てながらも黙っている」(同)

 だが、やっぱり気になるのはアユとの関係。浜崎の所属事務所に尋ねると、

「浜崎が南青山の自宅を売る際、最初に買い手としてイプシロン・グループが手を挙げた。しかしドタキャンされ、浜崎は違約金5500万円を受け取ることになりましたが、先方はなかなか支払わず、弁護士が回収したんです。浜崎は売れると思った物件を売れずに、いやな思いをしました」

 浜崎もいまでは、

「ミリオンヒットを連発したときの勢いは皆無なのに、未だ女王気分」(芸能記者)

 と評される存在。落魄の末に延べ床面積1千平方メートルの豪邸を売却した過程でも、対価として5500万円が入ったにせよ、いやな思いをしたわけだ。ともあれ、山田社長はなにをしたかったのか。自宅を訪ねると弟なる人物から恫喝されたが、しばらくして、ドバイにいるという本人から電話がかかってきた。

「社債にも、償還や利息の支払いが滞っているものと、そうでないものがありますし、みなさん待ってくれているので、被害者はいないんです。浜崎さんとは、私どもが直接契約しておりません。5500万円はイプシロンとなんの関係もありません」

 ウソか実(まこと)か。だが、山田社長の話に一貫性がないことだけはわかるのである。

週刊新潮 2018年11月8日号掲載

ワイド特集「読書の秋の人生譚」より

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