55億円「地面師事件」で高飛びの小山容疑者 フィリピンパブに注ぎ込んだ“積水マネー”

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55億円地面師事件の闇 逃亡の「主犯」が札束で弄んだ「錦糸町の金髪」(1/2)

 積水ハウスが巨額の金を騙し取られた地面師詐欺事件。警視庁の捜査を嘲笑うかのように「主犯」の男はフィリピンに高飛びしたが、彼の態度は一貫して挑発的だった。夜の街で豪遊を続けたあげく、逃亡直前には、ポルトガル人の「金髪美女」まで弄んでいたのだ。

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 一見したところ何を生業(なりわい)にしているのか判然としないものの、日常的に「億の金」について話す人種がこの世には存在する。ブローカー、事件屋、フィクサー、詐欺師……そういった連中だ。地面師もそこに含まれるに違いないが、かの積水ハウスが55億5千万円もの巨額の金を騙し取られた事件を主導したカミンスカス操こと小山操容疑者(58)が他の連中と違うのは、銀座や六本木の高級クラブを好まなかった点。彼はあぶく銭を持つ前も後も変わらず、東京の下町、錦糸町などの繁華街を深海魚のごとく遊泳し続けた。警察の捜査の手が迫るギリギリの状況の中でも乱痴気騒ぎと女漁りを続けたという、その“熱心さ”には驚嘆する他ない。

 小山容疑者は10月13日未明に羽田空港からフィリピンに出国。見事、高飛びに成功したわけだが、その直前まで彼が通い詰めた店はJR錦糸町駅南口から歩いて5分ほどの繁華街の一角にある。9階建て雑居ビルの2階に入っているその店は、ロシアやルーマニア、ブラジルなど出身の金髪長身系のホステスが多く所属するインターナショナルクラブ。客席は最大で10グループ程度は入れそうなほど広く、カラオケ用のステージも設置されている。店内をザッと見渡す限り、店一番の美人と思える26歳のポルトガル人ホステス、マリア(仮名)こそ、小山容疑者が最後に見初めた女である。

 ハロウィン期間中のある日、店にマリアを訪ねた。細身の黒いズボンに白いシャツというシンプルな出で立ちの彼女はショートカットの金髪を耳にかけ、ぱっちりとした大きな目に形の整った鼻と口。年配の方には、女優のナスターシャ・キンスキー似と言えば、その「美人度」をおわかりいただけるだろうか。もっと幅広い世代に簡潔に伝えるならば、タレントのローラに似ていると言ったほうが早いかもしれない。そんな彼女に、小山容疑者が地面師詐欺に関わって海外に逃亡したことを告げると、絶句した後、声を絞り出した。

「それ、初めて知ったよ……。何か変な、怪しい人だと思ってたから……。怖いね……。教えてくれてアリガトウ。私、日本のニュース読めないから……。私、何かされることある? 最近、変なお客さん多かったからおかしいと思ってた。会ったことない人に指名されて、マリア、マリア言われて。なんで皆、私のこと知ってる? 私、しばらく休もうと思ってたから、ちょうど良かったよ」

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