カープ“34年ぶり日本一”のキーマンは「新井貴浩」

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 広島とソフトバンク――近年の“セ最強”と“パ最強”と言ってもいいだろう。だが、意外にも両者、日本シリーズ初対決なのである。

 ここ10年は8勝2敗とパが大きく勝ち越し。うち4勝がソフトバンクで、昨年も日本一になっている。一方、広島の日本一は34年前の1984年に遡る。

 だが、今年のカープは一味違う。

 キーマンは新井貴浩(41)。

「新井といえば、駒大のOB人脈を駆使し、半ば無理矢理広島に6位で指名してもらったわけですが……」

 と大手紙デスクが語る。

「2005年に本塁打王になり、08年に阪神にFA移籍。11年に打点王になりましたが、同じく広島から阪神に移籍した金本が連続出場の世界記録を樹立したような強烈なインパクトは残せませんでした」

 だが“阪神色”が付かなかったことが新井には幸いした。阪神を自由契約となった後、古巣広島に拾われたのだ。2千安打を達成した16年には、チームが25年ぶりにリーグ優勝し、新井はMVPに輝いた。

 そして今季、日本シリーズを花道に引退。阪神監督を事実上解任された兄貴分の金本とは対照的である。

 CSの相手は巨人だった。高橋由伸監督が電撃辞任を発表した巨人は、“監督と一日でも長く”との思いで、辛くもリーグ3位に滑り込み、CSで2位ヤクルトを相手に、菅野がノーヒットノーランを達成するなど、神憑(かみがか)り的な力を発揮した。

「でも、その巨人ナインの思いより、広島ナインの“新井さんと一日でも長く”との思いが勝りました」

 広島は巨人を3タテした。

 由伸と逆で、新井の引退表明直後は、チームに衝撃が走り、負けが込んだが、

「今はチームが一丸となり、ペナントレース以上に力がみなぎっています」

 広島が勝てば、“12球団で最も日本一から遠ざかっている”という汚名を返上できる。その暁に汚名を引き継ぐのは、新井のもう一つの古巣、33年間惰眠をむさぼる阪神である。

週刊新潮 2018年11月1日号掲載

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