青ヶ島が全国紙で職員募集 “人手不足”の緊急事態
〈青ヶ島村役場職員募集〉
こんな求人広告が朝日新聞の東京本社版に載ったのは、10月21日のこと。青ヶ島といえば、東京湾から南に358キロ、八丈島よりさらに離れた伊豆諸島の端に浮かぶ小島である。
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東京都の自治体でありながら人口は全国で下から3番目に少ない約160人。漁業や農業の他にこれといった産業はなく、役場の求人も島内で事足りてしまいそうだが、さにあらず。
「島外から採用された人には、職員住宅や村営住宅が用意されています。今回、求人広告を出した職種のうち保育士さんに関しては10月にも広報誌で募集をかけましたが、採用に至らなかったということです」
と総務課の担当者が言うのだが、朝日に求人広告を出したのは、急ぐ理由があったからだ。
「現在、青ヶ島村の保育園では、6人の幼児を2人の保育士さんで面倒を見ています。ところが、1人が産休に入ることになり、残るは1人。病気にでもなられたら保育園が成り立たない。すぐにも補充の人員が必要なのです」(保育園の関係者)
かつて、青ヶ島村には人が殺到した時代があった。
「2001年に教育長を島外から募集したところ、南の島のロマンチックなイメージに憧れたのか、大学教授や銀行マン、証券会社の現役サラリーマンなど、1人の募集に約170人も応募してきたことがありました」(青ヶ島村の関係者)
だが、島の暮らしは都会とは違う。
「島内に商店は1軒だけ。スマートフォンも電波が届かないところが結構ある。人口も10年で約2割も減っています。求人をかけると問い合わせはあるのですが、生活事情を聞いて、諦めてしまうケースが少なくありません」(同)
今どき、自由にスマホがいじれない場所は、ケッコー貴重ではないだろうか。