“カネで捜査情報を漏らしてくれた”――55億円積水ハウス事件、地面師マネーに汚染された“黒い警視”の存在
Xデー直前の連絡
そんな小山容疑者の“実力”について、土井容疑者自身は今年2月、本誌(「週刊新潮」)の取材に、
「小山? あんな奴に仕切れるわけないよ。そんなタマじゃない」
と撥ねつけていた。更に、
「誰が騙され、誰が騙しているか、真相なんて最後までわかんないんですよ。僕なんか、ネットで有名人になっちゃいましたけどね。僕は地面師じゃない、あくまでも彼らをよく知っているというだけ」
ホテルのラウンジの深いソファに沈みこみ、うそぶくように……。誰かを騙しているうち、そうではないと感じられ、自ら嘘を信じ込んでしまう離人症という症状があるが、それに似たものなのか。あるいは、カネを受け取ったという証拠がないなら善意の第三者を装えるという余裕だろうか。積水から地面師側へ流れたカネの大半は、成りすまし女に預金小切手として交付された。土井の口座を経由した怪しいカネの流れはないのだ。
側近の話に戻ろう。
「買い主が積水に決まる前、土井は“北朝鮮のカネが絡んでいるからややこしい”とか言ってたことがあるね。“公安や警察の偉いさんと動いている”とも。土井が親しかった警察の人間は何人かいるけど、そのひとりが警視庁の『警視X』。そのXが、警視庁で売ってる桜田門とかなんとかいう2千円ほどの焼酎を5本くらい持って土井のところへやってくるんだけど、土井はそのお礼っていうか、そもそもの小遣いとして30万とか40万を渡す。土井を逃がしたのもXの情報ではないかと言われるくらいズブズブだった」
そう、土地の所有者の成りすまし役を担った羽毛田(はけた)正美容疑者(63)らが逮捕されたのは16日のことである。本来なら土井容疑者も身柄を拘束されるはずだった。警視庁担当記者によると、
「逮捕前日の15日夜、知り合いの刑事から土井に電話があり、“明日、着手の可能性がある”と伝えてきたようです。で、それがXではないかと見られています」
しかし、それについて、
「いやいや、Xと土井はいま反目(はんめ)になっていて、天敵同士なんです」
とかぶりを振るのは、ある捜査関係者だ。
「Xは“土井と関わったばかりに自分の出世が随分と遅れてしまった”とこぼすこともあるほど、土井に対して恨み骨髄なんです。だから、Xが土井から小遣いをもらうとか、まして捜査情報を漏らすなんてことはないと思いますよ」(同)
もっとも、いずれにせよ、警視庁内部から土井容疑者に捜査情報が漏れて、その結果、土井容疑者の逃亡に繋がったことは紛れもない事実だ。
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