創価学会員は大喜び!? 「橋本忍」追悼で映画「人間革命」がテレビ初放送

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学会と橋本のギブ&テイク

 学会絡みだから放送されなかった、という意見には映画評論家の白井佳夫氏も同調する。

「創価学会が絡んでいるから、映画賞の対象にすらならなかった。テレビで放送されないのも、もちろんそうでしょう。むしろ今回のように、橋本忍追悼としてしか、放送する機会などなかったかもしれません。今年、橋本さんが亡くなって、新聞各社がコメントを取りに来たときに、ぼくは『人間革命』の話もしたんですよ。それを取り上げたところは1社もなかったくらいだから」

 どんな話なのか。

「創価学会が絡んでいるというだけで、見たくない人もいるでしょう。ぼくも宗教は好きじゃないけど、試写室で見たときは驚きましたよ、ちゃんと作品になっていたから。それに、あの映画に関わった橋本さんはじめ、舛田監督、出演陣も、ほとんど学会員でないというところが面白い。学会もしたたかだった。どこかの宗教団体のように、全部信者で固めて、誰も見に行かないというものとは違います。あれだけのキャストを見たら、創価学会を知らない人は見たくなるでしょうから。だから、学会は信者でもない橋本さんに好きなように書かせたようです」

 信者じゃないからこそ、大胆に書き込んでいるという。

「やけに商才に長けた戸田城聖(丹波)が引き上げ者のヤクザ(渡哲也)と渡り合ったり、“天皇をとるのか! 仏をとるのか!”というような台詞を言わせたりね。ドラマは後半になると説教臭くなっていくけれど、その内容はともかく、戸田が勉強会(座談会)で説教する中、カットが変わるたびに人数が増えていくことで、組織が巨大化していく様を映像化していたんです。そんな表現はそれまで見たことがなかったから、橋本さんに直接聞きました。すると、『参考にしたのはNHKの教育テレビ。スタジオにテーブルとイスだけで、有識者に議論をさせて1時間の番組ができてしまう。聞かせる人に説得力があればドラマになるわけだ。その手法を映画に使わない手はない』というわけです。橋本さんは橋本さんで、創価学会を利用しつつ、面白い作品にしてしまうというところが、怪物シナリオライターたる所以でした」

 とはいえ、追悼なら他の作品でもよかったのでは?

「確かにね。だけど、橋本さんはその後の『砂の器』も『八甲田山』もシナノ企画と組んで作品にしている。『人間革命』で学会の動員力を知ったからですよ。“○○区の××班の人は、□□劇場の△時の上映を見に行ってください”とやっていたそうだからね」

 なんだか、学会の選挙運動みたい……。

「金がかかるのに、客が入るか分からず、大作を渋る映画会社には、シナノ企画がつけば動員が約束されるということで、実現できた作品もあるわけです。となると、『人間革命』がなければ、その後の大作は生まれなかった可能性もある」

 なぜ(高倉)健さん(1931~2014)の『八甲田山』にシナノ企画が絡んでいるのか、疑問だった方もいるだろう。学会をも利用した怪物脚本家の追悼放送、ある意味、相応しいのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2018年11月1日掲載

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