「伊調馨」「田南部コーチ」にこれだけは言いたい――大悪人にされた「栄和人」が独占初告白

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“警視庁に圧力”の真相

 10年のアジア大会で63キロ級の代表から馨選手を外し、前年の世界チャンピオンで至学館大大学院の西牧未央を選んだこともパワハラに認定されました。

 しかし、世界選手権以外の大会では、将来のため若手に経験を積ませることはよくあります。アジア大会のある年は、世界選手権に1番手、アジア大会に2番手を派遣することは男子でもある。彼女に嫌がらせしたわけではない。代表決定は理事会で承認され、協会が馨選手が所属するALSOKの監督に説明もしています。今になって、なぜ代表選考を批判されるのか理解できません。

 パワハラ認定の最後の項目、3年前の国内合宿で田南部コーチに「目障りだ。出ていけ」と言ったのは、合宿中に勝手に京都に出かけて戻って来た時です。

 彼は合宿中、しょっちゅう勝手に抜け出すので怒ったら、ナショナルトレーニングセンターから黙って出て行ってしまった。数日空けるのなら、強化本部長の私に断るのが筋です。たとえ、口も利きたくないほど私との関係が悪くなっていたとしてもです。

 結局、協会の依頼によってレスリング講習か何かで京都に出かけたとのことでしたが、私は承知していませんでした。ある人は、「本当に協会に言われた仕事だったのかどうかわからない」と言っていました。

 それまでにも、合宿中に姿を消してしまうことが多かった。警視庁の道場へ行っているということでしたが、よくわかりません。

 第三者委員会が、「栄が、警視庁レスリング部へ『馨に練習させるな』と言った」との告発を否定したのは当然です。よそのレスリング部に干渉などしません。仮に干渉したとして、警視庁がそれで動くはずもない。

 田南部コーチは、選手を育てられなかったから警視庁の人事異動でレスリング部から外されたと聞いています。馨選手に合わせて練習時間がコロコロと変わり、他の選手は迷惑していたのです。「伊調さんとばかり練習し、伊調さんの都合に合わせて練習時間を変える田南部コーチにはついていけない」と、警視庁の選手3人が辞めています。田南部コーチが外れたのはこうした理由からであって、協会や私からの圧力などではありません。結局、警視庁は自チームの選手の強化に力を入れるため、外部の人間である彼女の練習参加も断ったそうです。ですから、第三者委員会がパワハラの理由を「弟子が離れていったことに対する逆恨みにも似た狭量な心情の発露」としたことは、心外でした。

 馨選手は08年の北京五輪後、カナダに留学し、帰国後、私と袂を分かちました。

 私は去った選手に執着などしません。例えば、ロンドン五輪で優勝した小原日登美選手は、至学館大での教え子ですが、自衛隊体育学校に移っても嫌がらせをしたことなどない。ましてや自衛隊のコーチにも。馨選手や田南部コーチにもそんな気持ちは皆無です。

聞き手:粟野仁雄(ジャーナリスト)

(2)へつづく

週刊新潮 2018年10月25日号掲載

特集「大悪人にされた『栄和人』が独占初告白! 『伊調馨』『田南部コーチ』にこれだけは言いたい」より

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