「伊調馨」「田南部コーチ」にこれだけは言いたい――大悪人にされた「栄和人」が独占初告白

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独り歩きした「パワハラ」

 3月初め、パワハラの告発状が内閣府に出されたと、「週刊文春」が報じた時には何が何だかわかりませんでした。

 私が馨選手や田南部コーチに注意したことは事実です。第三者委員会で認定されたことは真摯に受け止め、反省もしたい。

 しかし「パワハラ」の言葉が独り歩きしました。レスリング界では、私のみならず経緯を知る人たちが事実を表に出せず悔しい思いをしています。でも、協会会長が謝罪してしまった以上、反論すれば、「協会はパワハラを容認するのか」となってしまい、また世間から袋叩きに遭うので反論できなかった。

 当初、馨選手は「告発状にはかかわっていない」とコメントしていました。私が彼女の5連覇を妨害しているかのような告発や報道は何だったのでしょう。

 告発状で指摘されたことは古い話が多く、記憶も曖昧なところもありますが、「よく俺の前でレスリングできるな」との発言は、8年前、ナショナルトレーニングセンターで行われた国内合宿でのことのようです。確かに、そのように言った気がします。

 私は一対一の場で注意はしません。必ず他のコーチもいる時にしか言わない。「他の選手に迷惑をかけないようにしなさい」「田南部コーチとの練習は全体練習が終わってからやりなさい」と言っていました。この頃、彼女は全体練習中に田南部コーチと勝手な行動をとることが多く、何度も注意していたので、「チームの和を乱すな」という意味でたしなめたのです。

 次第に2人の行動が目に余る状態になり、協会上層部にはスキャンダルが表沙汰にならないようにとの空気が充満していました。「男子選手と練習して強くなりたい」と警視庁に武者修行に行くのもいい。しかし当時、田南部コーチは全日本男子のコーチでもあったのに、「男子の指導を放ったらかして伊調さんとの練習ばかりしている」という声が次々と耳に入りました。彼の指導を受けたかった男子選手が苦情を言うのです。

 これは捨て置けず、私は彼にも何度も注意しました。「馨とは全体練習が終わってからだ」と。これは第三者委員会の調査でも述べました。

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