「小沢一郎」が泣いた? 玉城デニー新知事の“まだまだ引退できませんよっ!”に…

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 この日はしきりに目ばかりこすっていた小沢氏だった。10月12日、沖縄県知事に就任した玉城デニー氏が国会を訪ね、古巣の自由党に挨拶に現れた。小沢氏と玉城氏は院内で落ちあい、衆院の控室へ向かったが、関係者が集まっていたのはここ参院の控室で、間違いに気づいて慌ててやってきた。

 無理もない。玉城氏が知事選に転じたため、自由党の所属議員のうち衆院は小沢氏のみとなり、ほかは山本太郎氏、森ゆう子氏ら4人全員が参院だ。小沢氏は今のところ衆院で会派なしの無所属という寂しい立場。そこに身の置きどころなく、参院まで走らされ、泣きべそをかいたように見えなくもない。

 だが、この部屋の空気は温かかった。玉城氏が「イヤなことがあったら、またここに戻ってきます」と冗談めかすと、すぐさま森氏が「ダメだよ」と応じ、場はなごやかな笑いに包まれる。

 小沢氏は目を細め、「いやぁ、でもよかった。本当にいい結果だった」と万感こもった調子で何度もつぶやく。

 玉城氏は続けて「沖縄の可能性を実現できれば、日本全体に拡がって、それが政権交代につながるかもしれない」と挨拶。

 そして一拍おいて、小沢氏のほうを見やり、こう言った。

「代表! まだまだ引退できませんよっ!」

 場は「おおー」という感嘆の声に包まれた。

 その瞬間だ。小沢氏は本当に、泣いたみたいに目元をぬぐった。

 76歳。そろそろ引退かとも囁かれる。しかし、沖縄県知事選で存在感を発揮し、24日からの臨時国会以降も野党共闘に一定の影響力をおよぼすに違いないとの見方が強まった。

 男泣き。久しぶりの勝利の実感。わずか4人の議員同志に囲まれ、起伏多き政治家人生を振り返れば、胸に去来するものもあるのだろう。

週刊新潮 2018年10月25日号掲載

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