潜入取材「豊洲新市場」トラブルガイド 開場早々に「ゴキブリ」の姿、暴走「ターレ」で死亡事故の懸念

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ターレで死亡事故の危険性

 また、ここで目立つのはターレの暴走だ。前回で見たように、荷物が「平面でも垂直にも相互通行」で、運搬に時間がかかるだけに、みな苛立っているのか。

「ターレはだいたい、時速15キロ以上出しています。急いでるんで。みんなアクセル全開でぶっ飛ばしていますよ。スロープに荷物がはみ出していたりして危ないけど、上手くかわしていくしかないですね」

 と話すのは20代の仲卸だが、これは彼だけの問題ではないようだ。再びベテラン仲卸が説明する。

「築地の通路はターレが1台程度しか通れなかったけど、豊洲は3台くらい通れて、動線もしっかりしている。だからスピードも出る。見たところ、最大20キロ出るターレでかなり速く走っています。たとえれば、築地が一般道なら豊洲は高速道路。仲卸売場棟は脇に歩行者用通路を設けているけど、現実には発泡スチロールの容器が置かれていて歩けないから、生身の人間が“高速道路”を歩いている」

 しかも、電動のターレは音もなく近づいてくる。

「築地でもターレの接触事故はあったけど、せいぜい打撲や骨折。でも、豊洲では半身不随になったり死亡したりする事故が起きる可能性がある。監督責任者の都は、一刻も早く注意喚起すべきです」(同)

 加えて、フォークリフトにも問題があると指摘するのは、建築エコノミストの森山高至氏だ。

「現場を見ていなかったからなのでしょう、都は1・5トンのフォークリフトを使うことを想定しているようですが、流通現場では2・5トンのほうが一般的。豊洲も同様です。連続的に使っていけば、建物に負担がかかって早く劣化します」

(3)へつづく

週刊新潮 2018年10月25日号掲載

特集「潜入取材! 冷凍マグロが解けだした! すでに『ゴキブリ』大繁殖!! 来場客は知らない『豊洲新市場』のトラブルガイド」より

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