覚醒剤で逮捕の「橋爪遼」、映画製作会社が元所属事務所に損害賠償3800万円を請求中

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 10月25日に開幕する第31回東京国際映画祭。その公式部門のひとつである「日本映画スプラッシュ」が俄に注目を浴びている。そこで上映される作品に、通常ならば映ってはいけないものが映っているのだとか……。

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 主演映画「家族はつらいよ」(山田洋次監督[87])などで知られる橋爪功(77)の息子で俳優の橋爪遼(31)が覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕されたのは、昨年(17年)6月2日のこと。翌日には所属事務所から解雇され、11月には覚醒剤使用の罪により懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けている。

 実は橋爪遼が逮捕される2カ月前まで撮影に挑んでいた作品こそ、日本映画スプラッシュ部門に選出された「漫画誕生」(大木萌監督[32])なのだ。日本映画スプラッシュ部門とはどんな部門なのか、映画ジャーナリストの大高宏雄氏(64)が解説する。

「まだ作品数の少ない若手監督の新作を主体にしたコンペティションです。インディペンデント系が多いので、大作というものではありませんが、ここに選ばれるのは、かなりハードルは高いと言えます。それなりのクオリティがないと選ばれません」

「漫画誕生」は、日本近代漫画の祖とされ、政治風刺や風俗漫画を手がけた、北沢楽天(1876~1955)を描いた作品。明治から昭和にかけて活躍し、日本で初めて漫画で生計を立てた職業漫画家であり、のちにその作品は、手塚治虫(1928〜1989)にも影響を与えたといわれる。その一方で、日露戦争に勝利した日本人などに黄渦論(黄色人種脅威論)を唱えた時のドイツ皇帝ヴィルヘルム2世(1859〜1941)に対し、長い舌を切る風刺漫画「舌長の外科手術」を、これまた国内初のフルカラー漫画雑誌「東京パック」の表紙に掲載し、日本政府はドイツ大使館から抗議を受ける事態に。北沢は内務大臣から自嘲するように要請されるも、受け入れない反骨の人でもあった。

 この北沢を主人公にした映画は、初めてのこと。主演はイッセー尾形(66)で、内務省に呼び出された北沢が、検閲官から取り調べを受けながら生涯を振り返るという。その北沢の若き日を演じているのが橋爪遼なのである。

「作品に不祥事を起こした俳優が出演している場合、そのシーンはカットするか、代役を立てて再撮するのが通常です。橋爪が逮捕された当時、テレビでは彼も出ていた『やすらぎの郷』(テレビ朝日)が放送されていましたが、やはり出演シーンはカットされましたし、逮捕直前の5月20日に公開された映画『たたら侍』は、6月9日に打ち切り。橋爪のシーンをカットして、後日再公開となりましたが劇場数も縮小されました。しかし、『漫画誕生』の製作側は、橋爪の出演シーンをカットせずに公開することを昨年末に公式HPで発表しています。その理由としては、罪は重大としつつも、〈一度の過ちで更生の可能性を断ち切り社会から抹殺してしまうようなことには疑問も感じるのです〉という説明でした。しかし、カットせずにそのまま公開するというのは、前代未聞と言っていいかもしれません。それほど事件を起こした役者をそのまま起用することは、業界的にタブーなのです」(業界関係者)

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